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贅を尽くすなら、日本の食材に。

12月11日(日) 豪華クリスマスパーティーも高級お節もやめて、今年の締めくくりに何か一等”贅沢な”食事をしようと選んだのは、やはり札幌フレンチ『ラ・サンテ』のこの時期のスペシャリテ「新潟産網捕り野鴨のロースト」。新潟の田んぼでコシヒカリ(?)を食べて冬に脂肪を蓄えた鴨を、網で無傷のまま捕える。

飼育するものと違って、しかもそんな原始的な手法であるからには、大量に手に入れることは出来ないし、毎年の気候、環境の変化に左右される、まさに自然からの恵みである。
       『ラ・サンテ』新潟産網捕り野鴨 『ラ・サンテ』エゾシカのエッセンスのコンソメとアルザス風のトースト


この日は野鴨を組み込んだシェフおまかせコースをお願いしていた。
アミューズは「エゾシカのエッセンスのコンソメとアルザス風トースト」。このコンソメがいきなり脳へ強烈なインパルスを送り込んでくる。真にエッセンス、エゾシカの命の凝縮したものだ。味わいは強烈ながら澄んでいる。中に刻まれ入っているエゾシカのアキレス腱の食感がいいアクセントだ。北海道を代表するジビエからコースはスタートした。
       『ラ・サンテ』アンコウとカスベのジュレ シェリービネガー風味 『ラ・サンテ』サロマ産牡蠣フライ カレー風味のタルタル添え
次いで登場したのは北海道の海の幸デュオ。 「アンコウとカスベのジュレ シェリービネガー風味」。ジュレ・・・というよりテリーヌである。様々な食感がモザイクのように合わさって1口1口が楽しい。まずシェリービネガーのフルーティーな香り、その後で海の幸の甘みが追いかけてくる。『ラ・サンテ』の新たな定番になるのでは、と思える美味しさ。

続けて北海道の海の幸ソロが現れた。「サロマ産牡蠣フライ カレー風味のタルタル」。フレンチのコースに牡蠣フライとは、何とも遊び心に富んでいる!しかしこの牡蠣フライ、タダモノではなかった。衣がまず違う。粉末状になったパン粉がカッチリとシェルターになって牡蠣の身を保護している。フライというよりコトレットのよう。そして中の牡蠣は瑞々しさとふっくらとした形状をしっかり保っている。

タルタルがまたとびきり美味しい! 牡蠣の身を叩いたものが混ざっているそうだ。これだけでもパンに乗せてご馳走になりそう。なるほど日本の洋食の定番牡蠣フライが、しっかりフレンチになっている。
       『ラ・サンテ』ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ 『ラ・サンテ』ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ2
さてまだ野鴨には行かない。この時期に外せない『ラ・サンテ』のスペシャリテがあるからだ。「ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ」。「フォア丸君って呼ばれてます」とのマダムの解説だったが、つちは最初の印象からただ「爆弾」と呼んでいる。

最初に現れた時の不気味に静寂さを漂わせた姿、そして中を割って一口運んだ時の「何だこりゃ!?!」という驚き。これは爆弾以外の何物でもない。北海道を象徴する野菜でありながら、産地ではあまり食べ方にバリエーションのないゆり根。そのホクホク感や甘みを最も生かした料理が、この「爆弾」なのではないだろうか。そしてどこか親しみやすく、懐かしく感じるのは、やっぱり揚げ芋に馴染んでいるから?
       『ラ・サンテ』新潟産網捕り野鴨のロースト 『ラ・サンテ』新潟産網捕り野鴨のロースト 手羽
今年最後の晩餐らしく、ここまで序章というよりオールスターズの連続出場といったメニュー構成だったが、いよいよここで主役「新潟産網捕り野鴨のロースト」の出番である。鼻先を皿がかすめる瞬間、複雑な香りとともに、鴨の体温を感じた。本当に不思議な感覚なのだが、一旦死んだ鴨が、シェフの手によって生きている時の体臭と体温を取り戻すのだ。

付け合せも何も施さない、鴨肉と鴨の内臓で作ったサルミソース、鴨一色。これから鴨1羽と真剣に向き合うのである。

こういう場合、どこから食べ始めたらいいだろうか。何気なく気持ちは一番身の太い真ん中へと向かった。最初の一口は淡泊で、噛み続けるほどに甘みと香りがゆっくりと滲み出してくる。段々に端の方へと食べ進めるうちに濃厚さが増し、肉の一切れ毎に味わいが違うのがわかる。高橋シェフによると外側に近い方から熟成が進んでいくためだと言う。

ジビエは胸肉だけで終わらない。1羽まるごと味わうのが基本だ。別皿には手羽とハツ、砂肝がサラダ仕立てで供される。しっとりとした胸肉と、カリッと焼いた手羽、食感と味わいの変化をここでも楽しめる。
       『ラ・サンテ』ローズヒップとバラのジュレ 『ラ・サンテ』菩提樹の蜂蜜のアイスクリーム
野鴨の全身を全身で受け止めた後は、「ローズヒップとバラのジュレ」で箸休め。最後は数ある魅力的なデザートの中で「菩提樹の蜂蜜のアイスクリーム」を頂いた。パールにゴールドをあしらった宝石のようなこのアイス、蜂蜜風味なのではなくて、貴重な菩提樹の蜂蜜がアイスクリームの上から惜しげなく注がれているのである。蜂蜜は札幌南区の『なかの養蜂園』で高橋シェフが直接買い求めているそうだ。

スタートからエンドまで、1年の締めくくりとしてこれ以上のものはない”2011年総集編ディナー”だった。翌日からはいつものごとく、質素・ミニマムな食生活へと戻る。

贅沢な食事はたまにとは言え、ちょっとの後ろめたさはある。だが、『ラ・サンテ』での食事はその後ろめたさを払拭してくれるほどの説得力がある。価値ある食材、それを作る生産者と対話しながらの、魂の宿った料理。それを食べ手に伝える志。そういうものを全身で受け止めながら頂いていると、自分もその輪の中に参加しているような気がしてくる。

TPP問題で日本の一次産業の今後が危惧されているが、この日はつくづく今の日本の食の豊かさを実感した。そうだ、同じ贅沢なら日本の食文化を支えるために尽くしたい。少なくともそれが自分に出来ることだから。

2011.12.13 | | Comments(2) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

驚きのコース

どのお料理にも、ひと皿ひと皿に驚きがあるというか、良い意味での「ショッキング」なコースだなあ…と感服しながら読ませていただきました。

しかしやはり圧巻なのは、

>本当に不思議な感覚なのだが、一旦死んだ鴨が、シェフの手によって生きている時の体臭と体温を取り戻すのだ。

という一文に代表される、メインの野鴨料理をめぐるレポでした。

食材と化した野鴨の姿をとらえた写真には、一瞬ドキリとさせられますが、
あらためて、食事とは他の生き物の命を自らの糧として摂り入れることなのだ…という、当たり前だけれど忘れがちな事実を思い起こすことができました。

生産者と料理人の真摯な志を感じさせる料理と、
それを伝えるつちさんの熱意あふれる文章。
結びに綴られた「決意」に至るまで、
まさに年の暮れにふさわしく読みごたえたっぷりの、とても贅沢な記事だと感じました。
ありがとうございました。

2011-12-17 土 13:44:28 | URL | さざぴ #d819E29w [ 編集]

さざぴさま

いやぁ~ さざぴさんのコメントの方が読み応えたっぷりですよ!

確かに「ショッキング」な料理達でした。生きている時とは別の煌めきを発揮しているようで・・・

料理に魂を込めるって、高度に芸術的な一面と、食べ物への礼賛というか、ある意味宗教的でプリミティブなものを感じます。

本当にこの1年も”食べる”ことを通じて、色々なことを知り、考えさせられました。
まだまだ探究は続きますよ~♪

2011-12-19 月 16:21:41 | URL | つちばく #- [ 編集]

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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