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北と南、山ぶどう物語

この数か月、とある仕事で全国の様々な生産者や中小企業に、もの造りの背景について電話で伺っている。

短期間に50~60件という駆け足の取材なので、毎回宙ぶらりんなままに終わるのだが、その中でも心になが~く尾を引くものがある。

中野強さんは、久留米市田主丸という地で『峰石園』というぶどう園を営まれている。巨峰栽培歴40年の大ベテラン。しかし伺ったのはその話ではなく、中野さんが65歳の円熟を過ぎて新たにチャレンジしている山ぶどう栽培について。

その中野さんから、昨晩サプライズ・ギフトが届いた!これがかの「山ぶどう」である。
                   久留米田主丸『峰石園』山ぶどうと『九州酢造』の「山ぶどう ときめきの酢」


山ぶどうは九州では殆ど栽培実績がなく、中野さんが初めて成功したと言っていい。この地に合う品種を探し求め東京まで行き、山ブドウ研究家で知られる澤登晴雄氏から分けてもらったのがこの2種。

大き目の粒は日本の野生種と中近東の品種を掛け合わせたもの、小さ目の方は北方種だという。

びっくりだ!山ぶどうは加工用との思い込みで、生で食べようなんて思ったこともなかった。
旨い!殊に小粒の方が。しかし、一般のぶどうとは全く違う旨さである。甘いと同時に”出汁”のようである。まるでレーズンを食べているようなインパクトだ。

これを食べると他の生食用ぶどうが霞んでしまう。最も違うのは皮だと思う。山ぶどうは皮が美味しいのである。

この中野さんの山ぶどうを、地元『九州酢造』が酢にした。「山ぶどう ときめきの酢」である。

『九州酢造』は地元の特産品、柿を使った柿酢の製造からスタートした果実酢メーカーである。果実の力のみを原料に、樽(桶)仕込み・静置醗酵による古式醸造を行っている。2代目・案浦龍己社長念願のぶどう酢造りが、中野さんの山ぶどうで実現した。

これも、旨い!山ぶどう本体で感じられた出汁のような風味はそのままに、バルサミコのようなコクのある香りが加わっている。これだけでドレッシングや調味料にもなるほど個性があるのに、そのまま飲めてしまうほどまろやかでキレがいい。ここでも皮の香り、旨み、色が活きている。

ぶどうと一緒に1冊の本が送られてきた。平成19年、この地に巨峰が植えられてから50年の節目に記念誌として発刊された「巨峰物語」である。
                   巨峰開植50周年記念「巨峰物語」


「巨峰」が日本を代表する品種として育つまで、また田主丸の特産となるまでの苦難の道のりが描かれている。まだ読み始めたばかりだが、すでに物語の中にグイグイと引きこまれている。

「巨峰物語」はまさに、日本農業の近代化を支えてきたフロンティアスピリットの物語である。そしてその50年の大半、40年間が中野さんの巨峰への挑戦の歴史と重なる。

その中野さんが65歳を過ぎて再度チャレンジしたのは、巨峰とは全く異なる個性の山ぶどう。再び苦難の日々だという。しかしその声には清々しさを感じる。

ところであの小粒の山ぶどうの味に連れが反応した。「山幸に似ている。」

十勝ワインが極寒の地で苦難の末、山ぶどうとセイベル種の掛け合わせで栽培に成功した「清見」、そして「清見」と山ぶどうの掛け合わせで誕生した「清舞」「山幸」。その原点である山ぶどうは、澤登晴雄氏が池田町の山中で見出した北方系山ぶどう「アムレンシス」だという。

北と南、明治から平成、時空を超えた「フロンティア物語」は連綿と続くのである。

2011.10.02 | | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

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Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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