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130年前の”地りんご”復活への道~浜益・幌『きむら果樹園』

またまた久しぶりの更新になってしまったぁ~!

1週間程前のこと、今年初めて果樹園を訪れた。浜益・幌・・・と言っても、前年度々伺った『善盛園』ではなく、今回は『きむら果樹園』

『ケータリング美利香』メンバーの伊藤百合子さんがお知り合いとのことで、連れだっての訪問。
  浜益『きむら果樹園』 浜益『きむら果樹園』バーベキューコーナー
絶好の果物狩り日和。お昼時だったため、園内に設けられたバーベキュー台が大賑わいだ。

『善盛園』もそうだが、ここも喧騒を離れた別天地。空気の流れも時の流れも、静止してるかのように穏やかだ。まさに「乳と蜜の流れる場所」を思わせる。

今年は6~7月の長雨の影響で、さくらんぼの生育が遅れ、味も水っぽいそうだ。しかしこの楽園で、恥ずかしげに赤らんださくらんぼの顔を前にしたら、そんな懸念など吹き飛んでしまう。何しろさくらんぼは天国の果実の象徴なのだから。
       浜益『きむら果樹園』水門 浜益『きむら果樹園』紅てまり


『きむら果樹園』では、南陽、佐藤錦、水門などが一律700円の入園料で食べられる。さすがに南陽、佐藤錦は食べ頃のを見つけるのが至難の業。しかし天邪鬼のつちは、花形スターよりも、水門の方が味が濃厚で酸味もあって好みである。

食べ放題にはなってないのが、写真の大手鞠、その名も「紅てまり」。果肉がしっかりしていて、まるでりんごのような食べ応えだ。
       浜益『きむら果樹園』りんごジュース 浜益『きむら果樹園』ジャム
ジュースやジャム、梅漬けなどのオリジナル加工品も豊富だ。
  浜益『きむら果樹園』館 浜益『きむら果樹園』山からの眺め
ところで、果樹園に到着して一番気になるのが、この建物。ガラス窓ごしに、一般住宅らしからぬ吹き抜けの大広間が見える。どこかで見たような”造り”である。

聞けば100年は経っているという館。『きむら果樹園』のルーツは、そもそも鰊漁の網元だったそうだ。鰊漁全盛の当時に建てられたのがこの建物。どこかで見た様式とは、鰊番屋風だったのだ。

”本物の”木村家の鰊番屋は今でも幌の浜に残っているそうだ。木村武彦オーナー曰く、繁栄を極めた時期、「お金が余っていたから」果樹園内の建物も同じような造りになったのだろうとのこと。

それにしても漁師が果樹園?実はそれも当時の網元がいかに有力者であったかを物語るものであった。

明治10(1876)年、開拓使が浜益で果樹栽培を奨励したそうだが、手を挙げたのはやはり親方達。その時りんご、すもも、サクランボなどの苗木が無償で配布されたそうだ。

昨年花見を楽しませていただいた、『善盛園』の樹齢130年の杏の木もその時のもの。しかし『きむら果樹園』には、当時の木がまだ10本以上残っている。その中でも多いのがりんごの木。

実は目の前に広がるさくらんぼの光景に目を奪われがちだが、『きむら果樹園』の核心は、さらに奥、小高い丘の上にある。

木村さんの話を聞きながら斜面を歩いて行くと、いつの間にかかなり高いところまで登っていた。最高の眺め。果樹園を一望できるだけでなく、ぐるりと山に囲まれたパノラマが楽しめる。

こんな高い位置にりんごが植えられているのは、この近郊では『きむら果樹園』だけ。しかしこのロケ―ションはりんごにとっても最高のようだ。水はけのよさに加え、ぐるっと山に囲まれているため、暴風に晒されることもない。さっき空気も時も止まったように感じたのは、きちんとした自然現象だったのだ!
       浜益『きむら果樹園』ヤン衆が積んだ石垣 浜益『きむら果樹園』樹齢130年の木
そして斜面の土砂崩れを防いでいるのは、ヤン衆を使って積み上げたというこの石垣。これも網元ならではの偉効である。ここは1つの自然文化遺産のよう。

しかし『きむら果樹園』の異空間はそれだけに留まらない。実は時が止まるどころか、オーナーの木村武彦さんが今やろうとしているのは、”時計の針を戻す”仕事なのだ!

木村さんが足を止め、日光が焼き付けるような斜面にへばりついた、それこそ自然遺産のような老木を指差す。老木と言っても、辛うじて”皮1枚”といった風体。これが樹齢130年の「紅玉」だという。

130年前の若々しい姿を想像するのは難しいが、こうなるまでには様々な変遷があったことだけはわかる。もとは「紅玉」だったこの木も、大半を別の品種として生きてきた。要するに台木としてである。

「結局、市場の好みなんです。万人受けするものが好まれる。だから今のりんごは、どの品種でも味が変わらないんです。」

個性ある「紅玉」などは市場がない。だから「ふじ」などの”人気”品種の裏方にまわってきたというわけだ。
しかし、今木村さんはその黒子のベールをはがし、再び元の姿に戻す試みを行っているのだ。

よく見ると”皮1枚”から、若い枝が唐突に抜き出ている。実はこの枝がもともとの原種の蘇生。130年の間この大地に根を張った原種の木は、皮1枚になろうとそのアイデンティティを失ってはいないのだ。
       浜益『きむら果樹園』新品種のりんご 浜益『きむら果樹園』トタンで保護された木
一方で木村さんは、さくらんぼと同じ低地に生える対照的な木を見せてくれた。こちらもりんごの木。まだまだ若く『きむら果樹園』の風景に馴染んでいない。

「こういう今の(”市場受けする”)品種は、自立できないんです。」

確かに皆一方向に傾いていて、このまま大きくなったら寝てしまうのではないかと思わせる。この木が、斜面と一体化したように動かしがたい、130年の老木同様生き抜くとは考えにくい。木村さんは次第に”自立できない木”を育てることに疑問を抱き始めたそうだ。

さらに”先祖からの啓示”もあった!木村家には館と同時に100年ものの家財が多数残されている。その1つの和箪笥の”開かずの引き出し”に入った書類が気になっていた木村さんは、ある日意を決してわずかな隙間から、1枚1枚抜き出していったそうだ。

そしてその中に木村家の功績を称える表彰状と、その裏に2代目の手による、詳細な果樹園の見取り図を発見した。

「それを見て、これは(樹齢130年の木を)残さなければと思いましたね。」

木村さんはネズミの被害にあって弱ったりんごや梅の木にトタンを巻いて新たな根を張らせて蘇生したり、”ひこばえ”を移植して原種を増やすなどの仕事をコツコツと続けている。

お話を聞きながら、フランスのヴェルコールで、淘汰され絶滅しそうになった牛の在来種を蘇らせようとしていたジュリーンさんを思い出し、木村さんにその話をした。

「同じですね。やはりその土地に合ったものでないとね。」

その土地に合った木や動物は、必ず元の姿を取り戻す。それが自然の力だ。木村さんの時計の針を戻す日々も、また自然の活動そのものだろう。

130年前のりんごの味を早く味わいたい。そう願わずにはいられない。

2011.07.31 | | Comments(2) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

考えさせられました。

つやつやと可愛らしいさくらんぼの写真。
果樹園か、いいなあ!
北海道の涼しい風が心にまで吹き渡ってくるような、さわやかなレポだろうなあ…とウキウキ気分で読み始めたのですが、
爽やかな気持ちだけではなく、
胸にずしっと響くような、重いテーマを含んだ記事だと感じさせられました。

>「こういう今の(”市場受けする”)品種は、自立できないんです。」

このご発言には、考えさせられました。
樹木として自立できず、その土地の風景になじまない品種。
そして味の個性もない、万人受けする品種ばかりを好む消費者たち…。
何がどうとは言えないけれど、何かが間違っている。
そんなもどかしさ、歯がゆさ、苛立たしさのようなものがこみあげてきました。

果樹園のルーツが鰊漁の全盛期にあり!というお話は、実に興味深いですね!とても驚かされました。

>木村家の功績を称える表彰状と、その裏に2代目の手による、詳細な果樹園の見取り図を発見した。

この時、どんなに胸が熱くなられたことでしょう!お気持ちを想像すると、私まで胸がいっぱいになってしまいます。
「時計の針を戻す」挑戦、どうぞ大きな実を結ばれますよう、お祈り申し上げております…!

2011-08-01 月 17:43:12 | URL | さざぴ #d819E29w [ 編集]

さざぴさま

更新が滞っておりますが、引き続きご愛読ありがとうございます!!!

木村さんもすごいなぁ~と思いましたが、さらに「木ってスゴイ!」と思ってしまいました。

皮1枚でもしっかり生きて、本来の自分の姿を取り戻そうとしている。その姿を見たら、何が正しく、何が正しくないのか、理屈なしに納得できちゃいます。

また近いうちに木村さんの語りを聞きに行きたいと思ってます!

2011-08-06 土 15:08:28 | URL | つち #- [ 編集]

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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