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ホワイトデー ~ 食の自由と責任

ホワイトデーを目の前にして、「チョコレートの真実」を読んだ。

原題は「BITTER CHOCOLATE」、”苦いチョコレート”だ。

表紙をめくると冒頭から衝撃的な一文が迎えてくれる。

「私の国には学校へ向かいながらチョコレートをかじる子供がいて、ここ(カカオ生産地)には学校にも行けず、生きるために働かなければならない子供がいる。少年たちの瞳に映る問いは、両者の間の果てしない溝を浮かび上がらせる。なんと皮肉なことか。私の国で愛されている小さなお菓子。その生産に携わる子供たちは、そんな楽しみをまったく味わったことがない。おそらくこれからも味わうことはないだろう。これは私たちの生きている世界の裂け目を示している。カカオの実を収穫する手とチョコレートに伸ばす手の間の溝は、埋めようもなく深い。」

これは甘いチョコレートの裏側にある苦い現実を取材したものである。

私たちがヴァレンタインやホワイトデー、また日常にチョコレートを楽しみ幸福感に包まれるまでに、カカオ生産地の”児童奴隷制”とも言える人身売買・強制労働や、それを操る暗黒の組織・マネーなど、ビターでダークな道程を経ていることが描かれている。

著者の追及は容赦なく、従業員の権利を確立し社会福祉に尽くしたキャドバリーやハーシーの、その事業の基盤が遠く離れたカカオ産地の強制労働と搾取の上にあったことや、オーガニックやフェアトレード認証を謳ったチョコレート製造企業の資本が、実は現代のキャドバリー・シュウェッブ社によって過半数を握られていること、さらに「緑」は売れるということに気付いた大手グローバル食品企業が、有機認証そのものの条件を緩めようと政府に圧力をかけていることまで指摘している。

しかし最終的に結論はここである。
 
「この風潮を招いている本当の要因は消費者だ。安全性、手軽さ、手頃な値段がある限り、消費者は、生産者が誰なのか、原料が何なのかあまり関心を持たない。」

フェアトレードという、カカオ産地と消費国の溝を埋める最後の望みに対しても・・・

「消費者は、自分が問題に関与しているというのを好みません。解決の一端を担わせろと製造会社に要求する。そうやって、熱帯雨林の破壊や地元文化の消滅、地球温暖化といった問題を前にして感じる、絶望や悲観主義や無力感を自ら慰めるわけです。」

という発言の前には、ただうなだれるだけである。

さらにこの本には、食糧としてのカカオを発見したとされるマヤ文明から、現代の一大チョコレート産業に至るまでの歴史の中で、資本主義と食のグローバル化が繰り返し辿る道筋を描き出している。

常に資本主義における先進国は、後進国の農業を自給的食糧生産から輸出用商品生産に切り替えさせ、収量の多い改良種、栽培効率化のための農薬などを投入、その土地を使えるだけ使って、病気の蔓延、政情不安などで生産力が落ちると、別の土地を求めて去って行く。いわば使い捨ての歴史である。

原産地と言われるかつてのマヤ地域でも、カカオの原種と言われる「クリオロ種」が希少なのは、病害虫に弱い品種である事以上に、カカオを買い取る資本が、収量の多い改良種への植替えをすすめたからのようだ。

現代では欧米諸国の政治力をバックにした巨大アグリビジネスが、第3国の土地を遺伝子組み換え作物の栽培地に塗り替えようと”工作”しているとも述べられている。一方で食糧輸入国に転換してしまった国々は、他国に自分たちの食糧生産基地を求め農地の取得を進めているのも事実だ。

この暗黒の世界から抜け出すために、再び立ち戻って、自由経済の中で少なくとも自分が食べる物を自分で選べる環境にある我々は、生産環境が想像もつかないようなものよりも、できるだけ身近なものを買って食べるというのが、地味ながら真っ当な選択だ。

本に描かれたようにビター&ダークな世界が全てではないと思う。しかし自分が喜んで食べているものが、誰かの犠牲の上に作られているという可能性はできる限り排除したい。それが”慰め”であってもだ。

未だによくわからないTPP議論。その中で唱えられる、自由競争、市場開放、資本主義、グローバルスタンダードなどのキーワードを聞いていると、1つの価値基準を押しつけられている気がして違和感が否めない。

本当に全てがグローバル基準になったら、世界を牛耳る多国籍巨大アグリビジネスが選出した唯一無二の作物が、日本の大地でも作られるようになるかもしれない。もちろん我々が食べるのも、その選ばれし食物だ。自由といいつつ、自由はない。

在来品種とともに、在来日本人もいなくなる・・・そんな極端な心配も頭をよぎるのである。

あまりに本の内容が深刻で、誇大妄想を抱いてしまった感がある。
しかしこの「苦いチョコレート」は、自分自身の食生活への反省を含め、「食の安心・安全」、「地産地消」、「TPP」などの問題を考え直すチャンスを与えてくれた。おすすめの本である。

もう1度自分の問題に立ち戻ろう。

「本当の要因は消費者だ。安全性、手軽さ、手頃な値段がある限り、消費者は、生産者が誰なのか、原料が何なのかあまり関心を持たない。」

しかし、そうじゃない消費者になる自由も、権利も、責任も、まだ自分には残こされている。

2011.03.11 | | Comments(4) | Trackback(0) | 未分類

コメント

本当に苦い!

ショッキングな内容ですね…!
私もフェアトレードのチョコレート、買ったことがあります。

特に深く考えたり調べたりすることもせず、
通販サイトで商品の紹介文を読んで購入。
すごく良いことをしたなあ、という気分に浸ったりしていましたが…。
自分なりに、もっとよく考えてみる必要のある問題だったのですね。
この本はぜひ読んでみたいと思います。

つちさん、地震の被害は大丈夫でしたか?
私のウチでは風呂場のタイルが剥がれたり、棚のものが落ちて壊れたりしました。
でもそんなの、震源地に近い地域の住民の方々が受けた被害に比べたら、ほんの微細なものに過ぎませんよね。
被災者の皆様の無事を心からお祈りしております。

2011-03-12 土 11:35:09 | URL | さざぴ #d819E29w [ 編集]

さざぴさま

ご無事でしたか! よかったぁ~ コメントくれてありがとうございます!

こちらは何も被害なしです。でもこの寒い中災害に巻き込まれた方のことを考えると胸が痛いです。

何もできないのですが・・・いや、些細なことでも自分の出来る範囲で1人1人が支援すればいいのですよね。

しばらくはニュースから目を離せません。

本は是非読んでみてください。

2011-03-12 土 14:00:37 | URL | つち #- [ 編集]

えび・ブロッコリー

日本人はえびが好き~で、東南アジアで大量に養殖…プランテーション的に。えびの大量の排泄物とまき散らされる餌の残渣や抗生物質で枯れてしまうマングローブ。中南米ではやはり日本の商社が集落ごとブロッコリーを栽培させ化学肥料の蓄積…連作で畑がダメになったら次々と集落をすてていく。なかなか元の畑には戻らないそうです。
だからなお、私は輸入農産物もエビチリもご遠慮したいのよ。

2011-03-16 水 23:01:53 | URL | yumico #MBN2DyBI [ 編集]

yumicoさま

わかります!これからは消費者も「知らなかった!」では済まされないですよね。

これだけ知る権利が確保されて、手段も自由もある中では!

それが自由市場経済を選んで来た我々の責任でしょう。

自分の食べるものは自分の命と、生産者、地球全体に思いをはせて、よく考えて選びたいです。

2011-03-17 木 14:13:19 | URL | つち #- [ 編集]

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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