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果物のアート-『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』

3月22日(月)「暑さ寒さも彼岸まで」を薄っすら期待していたが、なんと前日道内は大荒れの天気。しかしどんな暴風雪でもこの日は出かけると心に決めていた。

『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』-真狩に住む鈴木方子(マサコ)さんが一人で作るコンフィチュール(=ジャム)の工房。もう何年も前からずっとここを訪れる巡り合わせを待っていた。そしてこの日”巡り合わせ”と言うより半ば強引にマサコさんのご承諾を得、真狩へと向かったのである。

案の定中山峠はこの巨体が揺らぐほどの強風。札幌から一路真狩を目指したが、3時間掛けて何とか昼前に目的地に到着した。工房は看板も何も掲げられていない住宅だったのだが、幸いマサコさんの著書に載っていた写真を頼りに迷うことなく辿り着いた。
       『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』1 『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』鈴木方子さん


この3連休は月に一度の工房販売会だったのだが、悪天候のため来客も疎らで、じっくり1時間半もの間お話を聞くことができた。

当日販売されていたのは、「みかん”津の香”のジャム(外皮入り)」、「3つの柑橘類のジャム(みかん、文旦、八朔)」、「文旦のジャム」、「文旦とショウガのジャム」、「文旦とバニラのジャム」

特別に「文旦とショウガのジャム」とすでに完売していた「みかんのジャム(外皮無し)」を試食させていただいた。

昨年からすでに山ぶどう、青トマト、自家製ドライフルーツ、マルメロ、ネーブルなどのコンフィチュールをシーズン毎に楽しませて頂いたが、眩いばかりの色彩と圧倒的な香りに毎回目が覚めるような衝撃を受ける。幸せなことに我が家の中身に乏しい冷蔵庫も、ジャムに限って言えば美味しいのが自家製、他家製合わせて1年中切れることがない。しかし果物が素材そのもの以上に感じられるマサコさんのコンフィチュールは何か別物に感じる。

「おいしい・・・」

つくづく自分の表現力の乏しさを情けなく思うが、本当は「しあわせ・・・」と言いたかった。確かにこの時いただいた2つのコンフィチュールに、味覚だけではなく心が満たされるのを感じた。

今回の訪問目的はジャムづくりの魅力と楽しさ、その真髄をマサコさんの話の中に探し当てることであった。と言うのも今年のつちの野望は、「果樹園で果物を摘み取りその場でジャムにして味わう」体験メニューを作ることなのだ。そしてそれは売っているジャムとは違う、そこでしか味わえないものにしたい。

しかしジャムとは”果物と砂糖を煮たもの”程度の知識しかないつちには、素人がそんな代物を作れるか心許ない。そこでマサコさんの著書「ラ・ベル・コンフィチュール・マサコの 果実を食べるジャムづくり」を指南書にと頼ったのだが、そこで改めて疑問がフツフツ湧き上がって来た。「よし、マサコさんに直接聞こう!」そして厚かましく押しかけた次第である。

初めてお会いしたマサコさんは、お若いが実に落ち着いていて何事にも動じない堂々とした印象を受けた。たった一人雪深いこの地でジャムを作っている、そんな気負いは微塵も見せないが、北国の女性の芯の強さを一瞬にして感じた。そしてつちの素人質問にも的確に言葉を飾ることなく答えてくださった。

最初の疑問は”体験”という限られた時間の中でジャムができるのかどうかだった。と言うのもマサコさんのジャムづくりの特徴は「ひとつのジャムを2日の作業に分けて作ること」だからだ。それは「1晩置いて冷ますことで、浸透圧により果物とそこからでる水分との糖度の差をなく」すためだと言う。しかしマサコさんの明快な答えに、早くもこの心配事の種は吹き飛んだ。

「”ジャム”を作ろうと思うと短時間では難しいですけれど、1回火を通したサラッとした状態でもそれはそれでおいしいですし、果樹園で食べるだけで特別なことはしなくても十分おいしいと思いますよ。あとは持ち帰って自分の家でもう1度煮つめてもいいですしね。」

ナルホド!続いて「ペクチンを使う理由は?」という疑問と、「自分で作ると香りが乏しくなってしまう。」という疑問に対しては・・・

「ジャムはパンに塗れるくらいトロミがあるもの・・・という固定概念があるのでペクチンを使っていますけれど、自分で作って食べるなら使わなくても構わないと思います。別にパンにしみ込んじゃってもいいですよね。香りは・・・たぶん煮詰めれば煮詰めるほど飛んでしまうと思います。見えないけれど砂糖も煮つめるとキャラメルになっているんだと思うんですね。そうすると香りがやっぱり変わってしまいますよね。クリスティーヌはなるべく煮詰めないで必要なトロミはペクチンを使って出すというやり方でした。」

”クリスティーヌ”とは、マサコさんが師事したフランスの”コンフィチュールの妖精”と呼ばれるクリスティーヌ・フェルベールさんのことである。マサコさんは彼女から仕事のやり方以外にも様々なことを学んだそうだが、同時にそれら全てがジャム作りの真髄に通じているようだ。

「クリスティーヌはほとんど料理人のような感覚でお菓子やジャムを作っていました。お菓子屋さんで働いていたこともあったので、お菓子はレシピ通りに計量して作るものというのが常識だったんですけれど、クリスティーヌは”こんな適当でいいの?”って思うような作り方で、味見しておいしければOKなんですよね。だから日によって味が違うこともあるんですけれど、おいしければそれでいいという考え方なんです。」

「クリスティーヌのレシピ本もあるんですけれど、友達がその通り作ったらおいしくないって言うんです。確かにレシピとしてはあまり参考にならない本なんですけれど、素材の甘みもその時によって違うし、書いてある通りやっても同じ味にるとは限らないんですよね。でも読む人はやっぱりレシピ通りにつくらなきゃだめだって思うんだなーって・・・だから私が本を出す時はこのやり方が全てじゃないということを強調して書いたんです。」

確かにマサコさんの本の中にはこうある。「わたしのやり方が一番正しいわけではありません。ジャム作りで大切なのは自分がどんなジャムを作りたいかです。決まりごとはありません。素材の持っている力を第一に考えてください。」

またこうもある。「ジャム作りに失敗は無い、とわたしは思っています。」

マサコさんの話を聞いて改めて本を読むと、何のことは無い、抱いていた疑問の数々が自然にスーッと解けて行った。

「私は冷凍の果物は使っていないんですけれど、冷凍だから味が落ちるかどうかは実際に比べてみたことがないのでわかりません。使っていないのは自分がそこまでして作りたくないから。冷凍品を使い出したら1年中どんなジャムでも作れちゃいますよね。今このシーズンだからこれを作ろうっていう感覚がなくなってしまう。」

あまり煮つめず素材の形を残していること、果物が最も美しく芳しく実った一瞬をそのままパレットと香水瓶に移したような色と香りなど、マサコさんのコンフィチュールづくりはレシピに沿った作業というよりは、これから枯れ行く果物の生命を留めようとするアートに近いと感じた。そしてそれはその時の果物の個性とマサコさんの心をそのまま写した、1つとして同じものはない、その時の味になっているはずだ。
『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』銅鍋tr2 『ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ』のジャムtr
今後マサコさんのジャム作りはどんな展開を見せてくれるのだろうか。次なるヴィジョンを聞いてみた。

「やっぱりお店は開きたいですね。保存食としてのジャムはそんなに数多く作らず、この場で旬の果物をジャムみたいに煮つめずに味わってもらいたい。それとお菓子も作りたいです。」

この真狩で羊蹄山を仰ぎながら、マサコさんが素材のポテンシャルを最高に高めた果物のアート=コンフィチュールを味わう・・・これほど心を満たしてくれる食べ物はないだろう。つちも果樹園のジャム作り体験でそのエッセンスを少しでも形にできればと思う。

マサコさん、ありがとうございました!

2010.03.24 | | Comments(2) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

好きです

フェルベールさんのジャムが好きで、と言っても頻繁には買えませんが、果物の
味わいのするちゃんと甘いジャムがいいなと。

そんなフェルベールさんのエスプリを受け継ぐマサコさんのジャムも好き。
マサコさんのジャムはルルドさんにたまぁ~に入荷しているようで、機会があれば
購入してます。

で、昨夏ニセコで自転車をレンタルし、真狩まで訪問してきました。

「暑いでしょう」と、ジャムを炭酸で割ったものを頂いたのですが、これだけで
りっぱなフルーツジュースになるくらい美味しかった!
果物の味わいをちゃんと閉じ込めているからこそ、こんなジャムの楽しみ方も
できるのでしょうね。

職人ともアーティストとも思えるようなジャム作りをする生産者。
これからもマサコさんの作り出すジャムが楽しみ。

では、また。

2010-03-25 木 23:59:21 | URL | まる探 #SFo5/nok [ 編集]

まる探様

さすが、まる探さん!やはり訪問されてましたか!(しかも自転車で・・・)

マサコさんのコンフィチュール、たまに一緒に飲むワインも負けてしまいそうなインパクトがありますよね。

季節をより強く感じられるのも魅力です。

これからのラインナップが楽しみです!

2010-03-26 金 15:32:19 | URL | つちばく #- [ 編集]

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Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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