スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | | スポンサー広告

「オホーツク地方自然公園構想国際シンポジウム2010」

さて話は戻って、去る2月24日のビッグウェンズデーに『マンマの大縁会』を慌しく抜け出した後、向かったのは北大で行われた「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」という催し。

「オホーツク地方自然公園構想」とは、一昨年の「フランスカントリーホーム視察」で訪れた「ヴェルコール地方自然公園」のようなものを、オホーツクに作ろうという構想らしい。今回のシンポジウムは視察旅行の主要メンバーが主催している。

フランスの「地方自然公園」については、過去に知り得た限りをレポートしているのでそちらを参照いただくとして、簡単に言うと行政区とは関係なく、地理的に価値を共有するエリアを「自然公園」とし、その域内の環境保全と農業振興を目的に運営する独立組織だ。

もし日本にそんな組織ができるとしたら・・・それは間違いなく北海道にあるべきだ!
非常に興味深いテーマであると同時に、つちの目的はもう1つあった。

このシンポジウムに、フランス視察の際お会いできなかったジャン・ロベール・ピット氏とマダム・ピット=戸塚真弓さんがパネラーとしていらっしゃるのだ!

会場に駆け込むと、まさにピット氏の記念講演「食・人・テロワールと地域振興~食と自然・文化遺産の継承に寄せて~」が始まろうとしていた。
       「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演1 「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演2


本論はこんな象徴的な画から始まった。アメリカでもイギリスでもフランスでも同じおなじみの味、マック。お隣ではそのマック(フランスではマクド?)を串刺しにし、勝利の凱旋(?)をする騎士のポール・ボキューズ氏。

偶然とも当然とも言えるが、『マンマの大縁会』での日本総研・大澤信一氏の講演も「食の個性化」をキーワードに挙げていた。曰く、食べ物、農産物はもともと個性のあるものだったのが、流通の変革により工場製品化、均一化されてきた。それを原点回帰、個性化する動きが各原産地で賑わう農産物直売所であると。
       「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演3 「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演4
続いてマクドに宣戦布告したテロワールの騎士、ボキューズが自分の故郷=リヨンが誇る食材を、現地で生産者に接しながら選んでいる場面。

そして最も印象的だった1枚が、フランス地方派シェフを代表するジョルジュ・ブランの美しい料理本の写真。

故郷のヴォナス村の野菜やチーズ、サラミ、ワインが素朴に農家の軒先とも思える場所に置かれている。飾られているのは花瓶の花ではなく、そこいらに落ちていそうな草や松ぼっくり、そして鍬。

日本の料理本にない発想だが、我々はこれを見て”衛生的でない”などと発想するだろうか? いや、特段凝った料理でもなさそう(失礼!)なのに、わざわざそこへ行って食べたいと思う!

これらの食べ物はまるで根っこが生えているかのように当たり前にここにある。何の説明がなくても並んでいるのはこの地の産物であり、たった今農作業を終えた農夫たちが鍬を置いてまさに食わんとしている・・・そんな光景が目に浮かぶ。私たちは本を見ているだけで舌でこの料理を味わい、目で周りの景色を眺めている。

料理人にとって食材と相対峙している時、その食材が持つ背景や物語がイメージできることは最大の喜びであり支えであろう。

つちも江別の地元密着型レストラン、『シェ・キノ』『木の家』のHP製作をお手伝いしているが、一度でもいいからこんな写真を撮ってみたいなぁと思う。
       「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演5 「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演6
続いてシャンパンのクリュグ社が、ラベルに生産地のペルメリード村を描いている例。ワイン狂の連れによると、ワインのラベルはやはり”顔”とも言える重要なパーツ。ワインを愛する人達はまずラベルをしげしげ眺め、徐にコルクを抜きグラスに注ぐと、同席者全員の目につく場所にそのボトルを誇らしげに置き、ラベルを愛でながらグラスを傾けるのである。

同様に産地の空気を吸い景色を眺めながら、農産物直売所でジャムやケチャップを買い込み、その夜食卓にその瓶を並べる。その時現地で見た風景がラベルにより再び目の前に蘇ったら、それはすばらしい!たかがラベル、されどラベルである。

そして”人”。ピット氏によると人もまた景観の大切な要素。その地でものを作っている人と彼からそれを買う人、それは自分自身でもある。買う時に見たもの、交わした言葉など、全てがその物の背景にピッタリと張り付いている。

写真はブルゴーニュのヴェルソン村にいるワイン職人だそうだ。赤ら顔で農作業着姿の頑固一徹といった風貌は、ピット氏が著書「ボルドーvs.ブルゴーニュ―せめぎあう情熱」の中で”ブルゴーニュは農民のワイン”と称するそのままの魅力を伝えている。

農産物と一緒で、”人”もそもそもその土地の産物だったのが、均一な食べ物、教育、情報などを享受する内に、自ら選んで根を下ろす場所を失った。土地を選ばずそこそこ伸びるF1種子みたいなものだろうか。

前段の『マンマの大縁会』で出会った凄腕マンマの面々は、やっぱりその土地の匂いをプンプンさせていた。
いつものアップリケ付スモッグ姿ではないにしてもだ!でもやっぱりこういう人達だからこそ、彼らのホームグラウンドで会いたい。またそう思わせるほどテロワールを感じる人達だった。雪が融けたら訪ねてみよう。
       「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演7 「オホーツク地方自然公園構想 国際シンポジウム2010」 ジャン・ロベール・ピット氏講演8
さてピット氏講演の後は、「オホーツク地方自然公園構想」中核メンバーによるパネルディスカッション。時間の割にパネラーの数が多く、本題に入る前に終わってしまった感があったが、個性的で面白いメンバーばかりでこれからの動きが楽しみである。

終了後はミーハーぶりを発揮してピット氏と戸塚真弓さんに駆け寄り、必死で一言二言交わした。
お二人ともフランスの威厳と洗練さを体の内側の1つ1つの細胞から発しているようで、本物のパワーを感じた。対して自分が煎餅のように薄っぺらく見えて恥ずかしかった。

しかしここで立ち返って自らは何をしようかと考える。

とは言え1日であまりに色んな刺激を受けて頭の中の整理がつかない。するとつい余計なことを考えてしまう。

「ピット氏と戸塚さんは晩に何食べたのかなぁ~」

地産地消を謳うホテルのフランス料理? カニ、鮮魚料理?
でも本当のテロワールを感じる食べ物は、『マンマのネットワーク』だったり『ケータリング美利香』の農家の母さんの手料理。
ああ願わくば、ピットご夫妻が次に来道される時にはこれらを食べていただきたい。あり得ない?でもそれが最高のもてなしではないだろうか?

再びわが身を振り返って、自分のやっていることは本物のテロワールを表現できているだろうか?

『食彩人』ブランドで実施している農村体験プログラムでは、農家や地元の飲食店でオーナーに教えてもらいながら、一緒に豆腐やケーキ、パスタや蕎麦を作る。それ自体は日本全国どこでも手に入る食品だし、自分でもレシピを見ながら家で作れるだろう。でも遠く本州各地から、また海外からもわざわざ1軒の農家や店を目指してお客様がいらっしゃるのだ。

なぜ?・・・恐らくそこでしか味わえない味を求めて。期待どおり3時間以上を現地の景色とオーナーの人柄に触れながら作った食べ物は、確実にこの場所と一体化している。逆にその物だけを動かして都会の高級レストランの皿に並べても、何の価値もないのである。

だから皆お取り寄せなんかせずにわざわざ足を運ぶ。食べる目的を食べることだけに終わらせない、食べることで感動し心を豊かにしたいという欲求なのだ。

北海道に渡って6年、まだまだこの地に根を張れない身ではあるが、自分の使命はこの地のテロワールを感じる人物や食べ物との出会いを重ね、それを他人にも体験してもらえるようなプログラムを作っていくことだとあらためて思った。

2010.03.07 | | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

«  | HOME |  »

プロフィール

つちばく

Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

お知らせ!!

    


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。