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冬の『ラ・サンテ』-思い掛けない晩餐

2月14日(日) バレンタインのこの日、それとは全く関係なく札幌フレンチの名店『ラ・サンテ』を訪れた。昨年も夏季限定「野菜を楽しむコース」で沢山の江別野菜を使ってくださった高橋シェフへ、「今年もよろしくお願いします」とPRも兼ねてである。

あらかじめこの時期のおすすめをお聞きしたところ、「足寄・石田めん羊牧場のラムとマトンの食べ比べ」「新潟産網捕り野鴨」と、勝敗つけ難い二大横綱が並んだ。これは困ったと無責任意にも「両方おねがいします。」などと放り投げところ、高橋シェフは本当に両方を組み込んだグルマンコースを用意してくださった。

題して「恥知らずの欲張りコース」(つち命名)は、まず「カリフラワーとズワイガニのババロア 釧路産生ウニ添え」から幕開け。
       2010_02_14『ラ・サンテ』「カリフラワーとズワイガニのババロア 釧路産生ウニ添え」 2010_02_14『ラ・サンテ』「厚岸産牡蠣のポッシェ 根セロリとカブのピューレ」


これはもう見たままのさわやかな口当たり、文句なしのおいしさ。こういうものを前にした時、間違いなく北海道人は誇りに思うであろう。

そこへ「忘れてくれるな」と割り込んできたのはもう1つの北海道の海の宝。「厚岸産牡蠣のポッシェ 根セロリとカブのピューレ」

生牡蠣のトゥルンとした食感と旨みを残しつつ生臭さを取り去るため、お湯で静かに茹でてあるそうだ。見た目は全く”生”なのだが、実は生牡蠣苦手なつちでも何の抵抗もなく美味しく味わうことができた。
       2010_02_14『ラ・サンテ』「ジゴンダス1999」 2010_02_14『ラ・サンテ』「真ダチのムニエル・春菊ソース」
連れが待ちきれず早めにスタートを切った赤の「ジゴンダス」が、牡蠣の生臭さを呼び覚ますのではと思ったが、丁寧な調理方法のお陰とトッピングのイベリコ豚のチョリソーとタマネギのチップスが、この赤のスパイシーな香りとマッチして意外な好相性だった。

さらなる北海道冬の海の主役が続く。「真ダチのムニエル・春菊ソース」

こちらも牡蠣同様、生の食感を残して臭みを消す絶妙な焼き加減。ニンニク風味のパン粉をタチの片面に付け、溶かしバターをかけながらその片面だけを焼くそうである。最後は残ったソースにケッパーを入れ、レモン汁をキュッと絞ってからめる。説明を聞くと自分にも作れそうだが、この絶妙なタイミングは掴めないだろう。

ちなみに主役のタチは、ジャガイモのガレットの帽子の陰に隠れている。その下にも越冬の野菜たち、多重奏の旨みのハーモニーだ。
       2010_02_14『ラ・サンテ』「真狩産ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ」 2010_02_14『ラ・サンテ』「真狩産ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ」2
そして『ラ・サンテ』冬のスペシャリテ=「真狩産ゆり根とフォアグラとトリュフの衣揚げ」が目の前に現れた。静かなる月面といった表情なのだが、何かが生まれ出そうな不気味な気配を感じる。

そして生まれ出たのが右の写真。揚げイモのような衣の下にゆり根のホクホクした餡、散りばめられたトリュフ、それらに守られて核となるフォアグラが飛び出した。一緒に口に入れると、これは経験したことのないような美味さ。

ソースはポルト酒とフランボワーズヴィネガーだと言うが、これがまた甘い罠のようだ。
連れは隣ですでにこの料理に酔いしれて言葉を失っている。まさにこれは『ラ・サンテ』の冬の名物「爆弾」と命名するにふさわしい。くれぐれもご注意を!
       2010_02_14『ラ・サンテ』「足寄・石田めん羊牧場の9歳のマトン(母)と12ヶ月のラム(子)」 2010_02_14『ラ・サンテ』「野鴨のスープ」
さてここからが実はメインである。予告のあった「足寄・石田めん羊牧場の9歳のマトン(母)と12ヶ月のラム(子)」が登場した。

寄り添って横たわる二枚の肉。本当の母子なのだ。母は最後のお産を終え、今ここで子と共に堂々とメインディッシュとして現れた。その母に敬意を表し手前から写真を写した。

平均寿命が14歳くらいと言うので、9歳はかなりの熟女。どんなにか固くて臭いか・・・と兢々としていたのだが、今となってはそんな無知からくる偏見を戒めたい。沢山の子を産んだ9歳のマトンには、12ヶ月のひよっ子なんぞ相手にならない程の味がある。

確かにラムには、あの春を呼ぶ独特な香りがあり、肉質は柔らかく瑞々しい。しかし少々脂にしつこさがあるものの、骨までしゃぶり付きたくなる圧倒的な味わい深さは断然母=マトンの方だ。この母あってこの子ありとあらためて感じる。

石田めん羊牧場では役目を終えた母マトンを立派に旅立たせるために、きちんとおいしいエサをやり肥育してから出荷しているそうだ。だからこその味わいだったのかも知れない。それにしてもその御大の花道を飾るために、こんな食べ比べを企画してくれた高橋シェフの計らいにも感謝したい。

すっかりマトンとラムを満喫しフィナーレ気分にもかかわらず、メニューには続きがある。もう無理・・・と口には出せないがお腹から陳情が出ている。

そこへ小さなデミタスカップが現れる。「野鴨のスープです。」

この野鴨の肝や細かい肉片の入ったコンソメスープが五臓六腑に染み渡り、胃腸が再び活発に動き出した。
ジビエの威力と高橋シェフの計算し尽くしたメニュー構成には驚嘆するばかりだ。
       2010_02_14『ラ・サンテ』「新潟産網捕り野鴨のロースト」 2010_02_14『ラ・サンテ』「いちごのクレームブリュレ」
そして迎え入れたオオトリ、「新潟産網捕り野鴨のロースト」。コースの中の1人前ということで、前回とは全く違った姿で現れた。

手前にムネ、奥にモモと手羽。各々が全く異なる歯応え、異なる甘み、旨みを持っていて楽しい一皿になっている。ジビエの醍醐味を味わえるのはやはりムネ。内臓で作ったサルミソースと一続きに感じられる、熟成した香りとシルキーな舌触り。またなんとも言えない甘みがある。

この野鴨は狩猟期最後のもの。今年は雪は多いものの鴨はよく獲れるようだ。こんなに遅くまで手に入る年は珍しいとのこと。縁あって貴重な自然の恵みを頂くことができた。

最後のデザートは息を抜いてリラックスするために欠かせない。新作の「いちごのクレームブリュレ」を選んだ。いちご風味のブリュレと思ったら、カラメルの下にはぎっしりいちごの果肉が詰まっていた。やさしい春の香り。冬も終わりに近い! カラメルの温度でみるみる融けるミルクアイスを見ながら、雪が解ける日を待ち遠しく思った。

気がつくと冬の北海道の味覚が全て口に入っていた。今腹の中にはあらゆる命がうごめいている。「罰が当たるぞ。」と連れが冗談半分に言う。分不相応の贅沢をしたために、案の定翌朝は疲弊した胃腸が休暇を申し出ている。前回同様、美味しい食べ物は同時に危険をはらんでいると痛感した。

しかしそんな道徳的な頭とは関係なく、心はこれほどまで豊かな食材を育んでいる北海道への敬慕に浸っている。きっと今までも美しい生き様であったであろう様々な海や山の産物が、最後の煌きを放ってつちの命と一体になった。

以前釧路全日空ホテル楡金総料理長が、自分の目指す料理を「食べた瞬間、その食材が育った景色が目に浮かぶ料理」と表現していた。今日の高橋シェフの料理は北海道が豊かで美しいということ、そこに住む我々がかつてない程幸せであるということを見せてくれた。

いつまでこんな美味しいものに恵まれ続けるのだろう。この豊かさを守らなければ、本当に罰が当たるだろうな・・・そう思った。

2010.02.17 | | Comments(0) | Trackback(0) | 出張報告!

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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