スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | | スポンサー広告

浜益の楽園 『善盛園』

つい先ごろ、浜益の果樹農家さんと知り合った。「浜益に果樹園?」とその存在すら知らなかったのだが、その歴史は余市の果樹栽培と同じくらいだと言う。何か心惹かれる思いで、10月16日(金) 程なく今年の営業を終えるこの果樹園へ出かけることにした。

札幌から2時間、『善盛園』は、浜益の中心地から更に増毛方面に向かった先、「幌」という地区にあった。途中何度も大きなさくらんぼの絵の道しるべが現れ、順調に目的地に辿り着いた。

海沿いの道をそれ、山里の小道をそろそろと進む。いつの間にか誘い込まれるように果樹園の敷地内に入っていた。
       『善盛園』1 『善盛園』2
「なんて気持ちのいい場所!」・・・開けた景色にうわっと息を呑む。さらさらと流れるせせらぎ、青空の下に緑の屋根を拡げる果樹・・・急に異次元の世界に来たかに感じた。

人の気配もない。このままこの景色を独り占めにしたい心境だったが、そうも行かないので園主の渡辺義文さんを探すことにした。


       『善盛園』渡辺さんと杏の木 『善盛園』の果物
樹齢130年を超える杏の巨木の前に立つのが渡辺さん。4代目園主だ。この杏の木が春に見事な花をつけている写真を見た。まさに匂いたつような美しさだ。「邪魔だから切ってしまいたいと思ったこともあった。」と言うが、今では「ご神木」と読んで、2代目の接木もして大事に守っているそうだ。

もう園内には千両ナシ以外の実は残っておらず、この日はその最後の千両ナシの収穫中だった。あらかじめ収穫されたリンゴ、ナシ、ブドウを囲んで渡辺さんにお話を伺った。

渡辺さんはもともと建設会社に勤めていたそうだが、親からこの果樹園を引き継いで今年で13年。もともとはリンゴなどが主流だったのを、さくらんぼの観光農園に転換させたそうだ。今では『善盛園』といえばさくらんぼで名が通っている。

「俺はサービス業に向いている。」と自負する渡辺さん。果樹農家をやっていて楽しくて仕方ないそうだ。一体どんなところが楽しくて、どんなところが大変なのだろうか?

「やっぱり花咲いて、それが実になって、お客さんが食べて喜んでくれる・・・俺、こんな顔に似合わないけど、お客さんの笑顔が好きなんだなぁ~。お客さんを案内したら、まず喜んでもらえる自信はあるよ。」

「作業は大変だと思ったことないけど、やっぱり天候だなぁ。去年なんか、蕾つけた途端に一晩でしばれてダメになったからな。」

渡辺さんはこの広い果樹園を1人で管理している。園内は庭石が並べられ、山野草が彩り、ベンチも配置されている。こうした観光農園としての環境整備もほとんど自前だ。さらに今取り組んでいるのは、隣接する町有林の散策路の整備。渡辺さんはそこを「ペケレ・サンの森(アイヌ語で”清い水の流れる森”の意)」と名づけて、ササヤブを刈り歩道を作っている。
       『善盛園』「ペケレ・サンの森」1 『善盛園』「ペケレ・サンの森」2
「したら、ちょっと森、案内するかい?」と渡辺さんは小型車で狭い散策路を巧みに上っていく。さすが勝手知ったる・・・だ。

「ここが奥入瀬。マスも上って来るんだよ。」 今度はいたずらっ子のように笑って車を降りる。
勢いのある清流の中に、本当にマスの姿があった。渡辺さんはここに茶室を作るのが夢だと言う。春は花が咲き乱れ、夏は深い緑、秋は紅葉、冬は真っ白い雪景色と、茶室を囲む光景が一気に頭を駆け巡った。「それだったら壁はいらないんじゃないですか?」と言うと、「野点かい?」と渡辺さんがまた愉快そうに笑う。
       『善盛園』3 『善盛園』「マルメロ」
再び果樹園に戻って、千両ナシやマルメロの木の下を歩いた。その芳香を胸いっぱいに吸い込むと、体が浄化されるような気がする。果樹に近づくと神秘的なパワーを感じる。「楽しくて仕方ない」という渡辺さんの言葉がなんとなくわかる。
       『善盛園』エラン1 『善盛園』エラン2
今年から始めたのがイチゴの栽培だ。品種は今が一番おいしい時期という「エラン」。ほとんどの農作物が命を終えて色を失っていく中、イチゴの真っ赤な色は身にも心にも活力を与えてくれる。試食させて頂いたが果肉がしっかりしていてシャープな味。体が喜んでいるのを感じた。
       『善盛園』「ドライブイン・サンセット」のあんずジュース 『善盛園』の手作りジャムと果物
最後に渡辺さんの奥様が切り盛りしている浜辺のレストラン「サンセット」でオリジナルドリンクの「アプリコットジュース」を頂いた。あの巨木の杏の実の果汁だ。甘くて、酸っぱくて、厚みのある本当の杏の味だ。アイスで美味しいのはもちろんだが、冬はホットでちょっと挽き胡椒を入れてスパイシーに飲んだら最高だと思う。

奥様が20年以上作り続けているジャムと洋ナシの「マルゲリータ・マリーラ」を土産に買い帰途についた。本当は帰りたくなかった。1日ここでさくらんぼと杏の木の下で本でも読んで、いや、何もしないで、何かを感じながら過ごしたい。それが最高の贅沢に思えた。

「どうだい?貧乏臭くないっしょ? 俺、貧乏だから貧乏臭くしたくないのさ。」

渡辺さんが丸っこい体に満面の笑みを浮かべて、こちらの顔を覗き込む。「うん、うん、貧乏じゃない。すごく贅沢だ!」つちは答えた。

帰り道、来年目にするであろう季節毎に移り変わる『善盛園』の景色を、シュミレーションしながら心を弾ませて走った。

ずっと体に感じていた神秘的な気のようなものが何なのか、それを紐解きたくてさくらんぼ(桜桃)にまつわるいわれを調べてみた。キリスト教では、桜の木は聖母マリアの木、さくらんぼは天国の果実の象徴だそうだ。そして”善行で高められた人格の高さ”をも表すそうだ。

偶然か、はたまたこじつけか、それでも”善の盛んな園”の桜桃は、本当に桃源郷を想像させる場所だった。


さくらんぼの『善盛園』
北海道石狩市浜益区幌403-1
TEL : 0133-79-3210
※今年の営業は終わりです。さくらんぼ狩りは6月頃スタート。HPのお知らせをご覧ください。


手作りジャムや梅干しはレストラン「サンセット」で販売しています。
北海道石狩市浜益区川下(浜益海浜公園に隣接)
TEL : 0133-79-3014
3月中旬~11月下旬営業 (天候により変動有り)
毎週火曜日定休

テーマ:北海道 - ジャンル:地域情報

2009.10.18 | | Comments(0) | Trackback(0) | 出張報告!

«  | HOME |  »

プロフィール

つちばく

Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

お知らせ!!

    


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。