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厚岸カキ漁体験、今年も果たせず!

7月20日(月) =海の日、いよいよ”厚岸カキ漁体験”の当日を迎えた。

一昨日、昨日と冷たい雨が降り続いていたが、お天道様が今日ばかりは情けをかけてくださったのか、朝から何とか晴れている。

いや待てよ、風が強い。慌ててテレビのスイッチを入れ天気予報を注視する。 「強風波浪注意報」!
まさか・・・即座に厚岸・奔渡町七丁目に住む兄貴=中野 清氏に電話をすると、開口一番「ダメだわ~、湾に行けないわ~」の一言。「じゃ、湖の方は?・・・」と前のめりのコチラを制して、「まずは来い!」との指令。

兎にも角にも厚岸を目指す。1時間ばかりで厚岸の街に着くと、まだ約束の時間には早い。そこで厚岸漁協直売所で舌慣らしすることにした。
       厚岸漁協の牡蠣3種 殻 厚岸漁協の牡蠣3種


昨年訪れた際「桜・カキ祭り」で食したカキは、目的の「カキえもん」ではなかった。厚岸のカキにはどんな種類があるのだろう・・・と思っていたら、何と分かりやすく「カキえもん」、「丸えもん」、「長えもん」の3種類が販売されており、しかもその場で食べ比べもできるではないか!

早速このカキ3兄弟を1個ずつ購入し、その違いを体験することにした。
「カキえもん」(写真中央)とは、カキの種苗から厚岸で作った純厚岸産牡蠣、「丸えもん」(写真左)とは稚貝を宮城県などから購入し厚岸で育てた牡蠣、「長えもん」(写真右)は主に宮城県などで大きくなり、最後の数ヶ月を厚岸で過ごした後出荷される牡蠣だ。

殻の大きさも違うが、身の方も違いが歴然だ。「丸えもん」、「長えもん」は殻が長く平たく、エラが大きい。「カキえもん」は小ぶりだが厚みがあって、エラが目だ立たない。

生ガキが苦手なつちに代わり、3種を食べ比べた連れによると、「長えもん」は(恐らくエラの部分に)苦味を感じ、後味がよくなかったそうだ。一番すっきりと食べやすかったのが「カキえもん」とのこと。
確かに見た目でも「カキえもん」が一番身が引き締まっていて、ピカピカの乳白色が美しい。(写真下左)
       厚岸漁協の「カキえもん」 厚岸・中野清さん
そうこうしているうちに約束の時間になり、漁協を出て兄貴の漁場がある奔渡町を目指す。
写真のツヤのいい色男が”七丁目のキヨシ”こと中野 清さんだ。キヨシさんはほぼカキ、それも「カキえもん」専門でやってる漁師。

今回のお目当ては何と言っても、この食べる真珠(?)=「カキえもん」だ。
「カキえもん」は5年前の平成16年にデビューを果たしたそうだが、その飼育は10年前、平成11年からスタートしている。そもそも何故漁協にあったように3種類の牡蠣があるのか、「カキえもん」誕生の経緯は何なのか?

「厚岸(アッケシ)」は、アイヌ語で”カキの多いところ”を意味するとも言われ、古くから天然牡蠣が無数に生息していたようだ。しかし明治に入ると乱獲が進み天然牡蠣は絶滅。この時点で純厚岸産の牡蠣は幻と消えたのだ。その後は養殖の試みが様々なされ、やっと16年程前垂下式養殖という、ホタテ貝殻を等間隔で紐に通し、そこに牡蠣の稚貝を付着させて海に垂らす方法が定着したとのこと。しかしこの稚貝はほぼ宮城県産だそうだ。

さらに宮城県からは成長した牡蠣も運ばれ、厚岸で数ヶ月間の仕上げを行うものもある。

前者が「丸カキ=丸えもん」、後者が「長カキ=長えもん」である。
後者の手法の意義はよく分からない。しかしいずれにしても、厚岸生まれでない牡蠣を「厚岸産」として出荷することに、疑問というか割り切れない気持ちを抱く漁師は多くいただろう。それが厚岸っ子の気概の表れでもある。

そうして生まれたのが「カキえもん」である。
平成11年、今から10年前に「厚岸生まれ厚岸育ちの純厚岸産カキを!」と、厚岸町カキ種苗センターが設立され、生き残った天然牡蠣から稚貝を育てる取り組みが始まった。

「カキえもん」の場合、シングルシード方式と言って、僅か0.2mmに砕かれた牡蠣殻の粒に1個の稚貝を付着させ育てる方法。これがある程度大きくなったら丸かごに入れて海に沈める。垂下式のようにホタテの貝殻に挟まれていると牡蠣も平たくなるそうだが、シングルシードの場合かごの中でコロコロ動くので丸く厚みが出るとか。
       厚岸湖 厚岸・中野清さんの船
さて「カキえもん」ウンチクで時間を稼いでも天候は好転しない。相変わらずの強風と波の高さで、キヨシさんは厚岸湖内でも船は出せないと言う。遠方にある牡蠣の海中揺りかごと、動かない”丸中丸”をうらめしく眺めるだけである。

キヨシさんはと言うと、「君たちのために用意したんだべや。」と、炭にバーナーで火をつけ、牡蠣を次々と網の上に放り投げる。
       厚岸・中野清さん2 厚岸・中野清さん カキ炭火焼き
エッ、こんなに!? しかしこれは本命の「カキえもん」ではなかった。産卵期に近いこの時期は「卵入って味が悪い。」と、キヨシさんは一切出荷しないそうだ。ガックリ、またしても目的を果たせず。仕方ない、後は次から次へと目の前で口を開ける牡蠣をたらふく食べるだけである。
       厚岸・中野清さんの丸カキ 厚岸・中野清さん カキ炭火焼き2
せめて「カキえもん」へのこだわりと思いを聞きたいと突っ突いてみるが、キヨシさんはなかなか取り合わない。「ねぇねぇ、君たち・・・」と全然関係ない話を振ってくる。しかし、ポツポツとこぼす言葉に厚岸の牡蠣が抱えている課題が見えてくる。

「厚岸生まれ厚岸育ちの純厚岸産カキを!」のスローガンで地元一丸となってスタートした「カキえもん」養殖・・・のはずだったが、現在続けているのは30軒ほど。年々減ってきているそうだ。しかも採算が取れているのはそのうち1割に満たないとも。

「シングルシードは数採れない。」のも1つの理由だそうだが、その価値がまだまだ認知されず、見合った価格が付かないのも大きい。

キヨシさんは1年4ヶ月の最短養殖期間で出荷することを目標にしている。通常2~3年と言われるが、早くすることにメリットがあるのだろうか?キヨシさん曰く「採算取るため」、そして「その位が一番味が良い」という。それ以上育てると大きくなるものの殻に栄養が行ってしまって身の味が落ちると言うのだ。

カキ種苗センターが立ち上がった当初は、アサリ大くらいで殻いっぱいに身が入っているものを目指すという話だったそうだ。それが次第に市場の要求に押され、大きいものを求める傾向になってきているという。

それでも頑固なまでに小粒の「カキえもん」を生産し続ける理由は・・・?

「やっぱり成果出したいからさ。」

キヨシさんは10年前、「カキえもん」事業に「全てを注ぎ込んだ」そうだ。そしてその全てはシングルシード牡蠣の稚貝に換わった。やるしかない!そんな情熱の根源はやはり、純厚岸産の牡蠣を生産できない厚岸牡蠣養殖事情への疑問だった。
        厚岸・中野清さん カキ炭火焼き3 厚岸 花咲カニ
「厚岸の牡蠣のもっと深い部分を知ってもらいたいね。」と自ら振っておきながら、その先を聞こうとすると、「カニ食うか?」と話題をそらす。

1人に2杯以上供されたのは立派な「花咲ガニ」。まともに食べるのは初めてだ。決してカニ好きでないつちが、夢中で食べるほど旨い!連れとともに全身カニまみれになって食べた。

結局”厚岸カキ漁体験”の旅は、またしても目的を果たせなかった。
しかし、今回訪ねたキヨシさんと中標津『山本牧場』の山本さん、両者に共通している何かを感じとることができた。”現状への疑問、そしてそれへの挑戦”・・・勇気が要って、失うものも多い行為だ。でも必ずこういう生産者が1人居てくれる・・・そのお陰で我々消費者は多様な価値観を選択できるのだ。

帰り際、ちょっと寂しそうな表情を見せたキヨシさんに車の中から大きく手を振った。もう一度振り返るともうキヨシさんの姿はなかった。カモメだけが後を追っかけてきた。

「かもめのジョナサン?」

ジョナサンは必ずいる。微力な自分は応援することならできる。
目的は果たせなかったが、満ち足りた旅だった。

2009.08.13 | | Comments(4) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

イオマンテの舟崎です

こんにちは
イオマンテの舟崎です。
先日はご来店ありがとうございました。ブログ内でもご紹介いただき恥ずかしいです(笑)
カキ漁体験は残念でしたね、そんな中でもきちんと現場の問題点を生産者の方々から読み取る、つちばくさんのその探求心に頭が下がります。地元民の僕らも負けてはいられません。
僕が大事にしている言葉に「畑の都合、海の都合」というのがあります、どこかの生産者さんに言われたセリフなのですが、
彼らの本音が隠れている言葉だといつもことあるごとに(とくに今年のような天候が続くと)思い出します。
山本さんも中野さんも、大きな声では叫べない“本音”を目指し頑張っているのかもしれませんね。
当り前の商売方法ではないかもしれませんが、きっと未来の北海道の食産業には絶対必要な取り組みだと思います。
ですので、私は陰ながら応援しているのです、本当に陰ながら・・・(^^;
それでは、今後とも道東の応援もよろしくお願いいたします。

2009-08-14 金 13:50:50 | URL | KAZU #- [ 編集]

KAZU様

ご丁寧なコメント恐縮です!
ありがとうございます。嬉しいです。

生産者やKAZU様のような物を作る現場の方の、「唱える前に自分がやる」という姿勢にいつも畏敬の念を覚えます。

自分は情報発信する位しかできません。

でも各々できることを精一杯やっていれば、総合力で世の中変わることもあると信じてます。

かもめのジョナサンが世の中を動かしたように・・・

釧路が第2の故郷みたいに感じられます。
本当にありがとうございました。

2009-08-14 金 19:36:14 | URL | つち #- [ 編集]

タイトルを見て

ありゃりゃ~と驚き、さぞかし「今回もダメでしたー、しょぼん」…みたいな元気のない内容だろうと思いつつ拝読しましたが…
どうしてどうして、厚岸牡蠣の蘊蓄をはじめ、キヨシ兄貴の温かいお人柄の伝わる描写まで、大変読みごたえのあるレポートで敬服いたしました。
(*^_^*)

天然牡蠣が乱獲により絶滅、その後の努力により養殖方法を確立したが、それにはあきたらず純厚岸産の牡蠣の生産をめざしたという「カキえもん誕生秘話」はとても感動的で、夢は必ず叶うものなんだな、と励まされる気持ちになりましたが…
採算が取れない等の理由から、カキえもん繁栄の道のりには、まだまだ険しいものがあるとのこと。

意気地無しの私は、夢の前に立ちはだかる現実の壁の分厚さにすぐメゲてしまい、早々に降参してしまうタチなのですが…
それでもやはり、夢の実現のために費やした力と時間は、いつか何かのカタチで実を結ぶと信じていたいです!
だからどうか、カキえもんを手がけておられる厚岸の漁師の皆様にも頑張ってほしいです…!

厳しい現状や将来の展望に対する思いを声高に口にされず、関係ない話題のつれづれに訥々と語られたというキヨシさん、何だかすごく男らしくてカッコいいなあ、と思ってしまいました…♪

2009-08-27 木 19:12:30 | URL | さざぴ #d819E29w [ 編集]

さざぴ様

いつもいつも丁寧に読んでくださって本当にありがとうございます!

私の伝えたい気持ちがちゃんと届いていて嬉しいです。

大勢に逆らうってすごく勇気の要る行動ですよね。周囲からの雑音にめげず、見方からも見放されて、それでも前に踏み出す・・・その信念って一体どこから生まれるのでしょう?

キヨシ兄貴、カッコいいでしょ?次回からキヨシ=ジョナサン兄貴って呼ぼうかなと思ってます!

2009-08-28 金 15:39:19 | URL | つち #- [ 編集]

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Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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