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中標津『山本牧場』のWild Milk「養老牛放牧牛乳」

今回の道東遠征では、”厚岸カキ漁体験”の他、もう1つの目的があった。

7月19日(日) 天気は大雨。そして寒い。”涼しい”ではなく”寒い”のだ。出発地の釧路で最高気温13℃。人一倍寒がりなつちは長袖3枚+ウインドブレーカーという万全ないでたちで中標津を目指した。

摩周国道と呼ばれる391号線を北へ、途中標茶町・多和平付近まで来ると、まるでフランスのローヌ=アルプ地方で見たような広大な丘陵地帯が広がり目を奪われる。まだ見ぬ北海道がここにあった!

朝10時ちょっと前。約1時間半で目的地近くのガソリンスタンドへ到着。そこから訪問先へ電話をかけて道案内をお願いすることになっている。

中標津『山本牧場』・・・実は今回も、いつもお世話になっている東京・青山の”フランス風北海道料理店”『ル ゴロワ』大塚さんからのご紹介なのだ。

『ル ゴロワ』では『山本牧場』のオリジナル牛乳「養老牛放牧牛乳」をタンクで購入して、デザートに愛用していると言う。「山本さんの牛乳を使うようになって、”デザートがすごくおいしくなった”ってお客様から言われるの。」と大塚マダムが嬉しそうに語っていた。

山本さんに”丁寧に”道順を教えてもらったにもかかわらず、途中4回も迷って電話をし、わずか8km程の距離を30分かけて辿り着いた。その頃雨はさらに激しさを増していた。


放牧地に入って牛の写真を撮りながらお話を伺う・・・つもりでさらに長靴とカッパを着用して構えていたのだが、そんな状況ではなくなっていた。「さあ、入って入って!」と山本さんに促されて早々とご自宅に上がらせて頂いた。

カッパを着てリビングに居る自分は、本当に間違えて陸に上がってしまった河童のように不自然な姿だっただろう。でも山本さんご夫妻は全く気にする様子もなく、また特段に世話を焼くわけでもなく、ごくごくマイペースに世間話を始めた。何と山本さんとつちは同じ新宿区生まれ・・・ということが判明し、ローカルな話でひとしきり盛り上がってしまった。おっと、こんな話で来たんじゃなかった・・・と慌てて「で、牛乳のことなんですが・・・」と軌道修正。

「まずは、牛乳飲みますか?」

山本さんは、この日養老牛温泉の宿泊客からの注文が殺到して品切れになったという牛乳を、取り置きしてくれていた。
                 中標津『山本牧場』「養老牛放牧牛乳」
「養老牛放牧牛乳」という名のその牛乳を初めて口にした。こってりでもなく、サラサラでもなく、ノンホモの脂肪球のザラザラ感を感じながらも口当たりはすごくソフトだ。デザートに使ったらどんなに美味しいことだろう。

「今はグリーンラベルで、青草を食べてますから乳脂肪は低いんです。」

『山本牧場』では、牛乳を青草中心の時期の”グリーンラベル”と貯蔵草を食べる冬季の”赤ラベル”に分けて販売している。チーズなどでシーズン毎にブランド分けしているのはあるが、牛乳では珍しい取り組みだ。

しかしそれ以前にこの「養老牛放牧牛乳」は、山本さんが酪農に対し自分なりにありとあらゆる挑戦をした結果の”高付加価値牛乳”なのだ。その特徴を『山本牧場』のサイトから抜き出してみると・・・

*完全放牧自然飼育(wild style)
*農薬&化学肥料不使用
*草中心主義(少量のみノンGM飼料給餌)
*風味豊かなノンホモ低温殺菌牛乳
*環境負荷の少ないエコミルク
*摩周伏流水飲用
*牧場内工房から新鮮なまま発送致します!(受注生産)

さらに現在、有機認証申請の準備中とのこと。そもそも『山本牧場』の出発点と目標点はどこにあるのだろう?

「実は有機認証が目的ではなくて、ともかく酪農研修の時に、ポストハーベスト農薬使用と遺伝子組み換えの輸入飼料、あれだけは使いたくないなと思ったんです。」

山本さんご一家は10年前、東京でのサラリーマン生活から一転、“広大な大地で牛がのんびりと草を食む、そこで家族がお互いの絆を深めながら楽しく生活する!(『山本牧場』サイトより)”のを夢見て、この地にやってきた。しかし研修中に見たのは、大規模経営指向と搾乳量を競うような酪農の現実だった。そしてそのために大量給餌される輸入飼料の現実・・・

それらと対峙するため、”穀物飼料を減らす”という目標を掲げたのが出発点だったそうだ。そして毎年毎年徐々に与える量を減らし、牛の体質自体を本来の草食に戻す取り組みを続けている。現在少量給餌している飼料はノンGMだが、それも最終的にはゼロにすることを目指している。

もちろんその代償は搾乳量の低下として現れる。目標値は年間1頭当たり6,900ℓだが、実際には6,500ℓくらいだと言う。やはり少ない。

さらに挑戦したのは”年間完全放牧”というスタイル。極寒の冬でも昼夜問わず放牧するというのは北海道ではほとんど例がないそうだ。

「一番には”金がなかったんです”」

と山本さんは苦笑する。僅かに年間放牧を試みる他の農業者も、やはり牛舎内設備を整えるだけの財力がない新規就農者のようだ。

しかし山本さんの挑戦は決して場当たりでない、自己の明確な酪農スタイルの過程にある。

”いい加減酪農”を目指してるんですよ。」

とまたしてもはぐらかすような発言! しかし本人は至って真面目だ。

「人為的なことを排除して、牛が自然に勝手にやってくれている中で、自分たちがその副産物をもらえるのが理想ですね。だから育成牛舎の掃除だってまめにしないですし、堆肥も何年も熟成させるなんてことはしてません。ある程度溜まったら撒いてます。搾乳ロボットって言うのは僕は好きじゃないですけど、でも最終的には牛が乳搾って欲しい時に自由に搾乳機に入って自動的に集乳できるようになればいいなって思ってます。」

山本さんは牧草地に農薬と化学肥料を散布するのもやめているが、”いい加減”に雑草もある草地で、「雑草でも喜んで食ってくれる」ような牛と生きて行きたいと言う。

現在26haの放牧地に56頭の搾乳牛がいるが、牧草は不足気味で一部は他の牧場から購入して補っていると言う。当面の目標は30頭くらいにして自家製牧草だけでまかない、牛乳を売って経営バランスを取ること。しかしこれこそが最大の挑戦になるであろう課題、目標点なのかも知れない。

ところでその「養老牛放牧牛乳」が『ル ゴロワ』さんへと送られることになった経緯は・・・

釧路全日空ホテルに売り込みに行ったら、思いもよらず楡金総料理長が直接会ってくださって、”この牛乳おいしいね”って言ってくれたんです。それまで”体にいい牛乳”だっていう自信はあったんですが、味を追求してきたわけではなかったので、初めて自分の牛乳っておいしいんだって気づかされました。」

それ以降釧路全日空ホテルではもちろん、楡金総料理長の紹介で『ル ゴロワ』でも「養老牛放牧牛乳」が使われるようになったそうだ。

最後に牛を見たいとお願いすると、「近くまで帰ってきてるかな~?」と山本さんは傘を持って外へ出る。そうか、牛たちは広い放牧地を自由に行き来しているのだから、相当遠くに行ってるかも知れない。大雨の中申し訳なく思いながら、半袖姿で飛び出した山本さんの後を追う。

養老牛のこの土地は、温泉好きの山本家にとっては念願の場所であったそうだが、それよりもラッキーだったのは、1面で25haの放牧地が手に入ったこと。それは欲しいと思ってもなかなか手に入るものではないそうだ。

「それにここは水もいいんです。摩周湖の伏流水ですから。僕らが飲んでおいしい水を牛もいっぱい飲んでるんです。」

新宿生まれの山本さんが、もはやすっかり養老牛の1国の主である。
             中標津『山本牧場』
「あ、帰って来てる。雨だから雨宿りに戻って来てますね。牛舎の中から見ましょう。」

搾乳の時にだけ使う牛舎の建物の中から水飲み場に集結した牛群を眺めることにした。
その姿は「ワ、ワイルド!」 雨で泥ハネを浴びた牛が悠然と水を飲む姿は、濁流の中にいる水牛か何かを見ているようにたくましく目に映った。だから「WILD MILK」・・・

ちょっと体が小ぶりに見える。小さくなったのか、これが”本来の姿”なのかはわからない。でも山本さんのやっていることは、この土地にしかいない、この土地ならではの牛を育てることなのかも知れない。

「アンチテーゼとしての放牧酪農」・・・と『山本牧場』のサイトにはあるが、常に既存のやり方に疑問を投げかけ自ら挑戦するという山本さんの姿勢を象徴するタイトルだ。

品切れだったため後日配送をお願いしていた「養老牛放牧牛乳」には、こんなメモが添えられていた。

「牧場の将来像についての話でひとつ言い忘れたのですが、売上げの一部を食糧飢餓に苦しむ子供たちに役立てればいいなあとも考えてます。本来人間にあたるべき穀類が、海外産飼料の多給により牛のエサになってしまっている流通の歪みは、酪農家も大いに憂うべき問題だと思います。支援等できればよいのですが・・・」

山本さんの酪農は、養老牛を飛び出して地球レベルでの”いい加減”を目指している!


WILD MILK「養老牛放牧牛乳」のご購入はコチラ

2009.08.09 | | Comments(0) | Trackback(0) | 出張報告!

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つちばく

Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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