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ヴェルコールの農家レストラン

またまたフランス農村視察報告に戻ります。

ヴェルコールで「地方自然公園」という特異な存在を知った我々一行の次なるミッション、この公園内の農家が行うアグリツーリズムを体験することだ。

訪れたのはヴィラ・ド・ラン(Villard de-Lans)にある「Ferme de Jurine 」(フェルム・ド・ジュリーン)
     ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン ヴィラドラン種牛
標高1,100mの山間地に30ha、20頭の搾乳牛(育成牛が20頭)を飼う牧場だ。
ここではまた違う種類の牛に出会った。その名も”ヴィラ・ド・ラン種”、村の名前と一緒だ。この牛、フランス国内に300頭しかいない超希少種。それもそのはず、一時フランス国内で牛の品種の淘汰が行われた際ほぼ絶滅しかけたそう。それをジュリーンさんは地道に復活させたのだ。

ジュリーンさんが牧草地に入り、しばらく牛と目を見合わせた後ゆっくりと歩き出すと、寝転んでくつろいでいた牛たちが自然と起き上がり、寄り添うように歩み出した。写真でジュリーンさんの隣にいるのが、この牛群のボス(雄牛)。かなり貫禄のあるボディーなのだが、一緒に視察をした酪農家の皆さんがビックリするくらい従順でおとなしい。
       ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン ムッシュ・ジュリーン ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン マダム・ジュリーンtr


ムッシュ・ジュリーンは地元出身だが、マダム・ジュリーンはパリ近郊のイル・ド・フランス出身。マダムがスキーをしにこの地に遊びにきた時に、インストラクターをしていたムッシュと出会ったとか。都会からのお嫁さんだ。

今この牧場で搾乳~加工まで2人でこなしている。加工品はチーズ、牛肉製品。チーズはここにしかいない牛のミルクで作ったここにしかないチーズ。牛肉はBIOだそうだ。そして自家産品で「グーテ・ア・ラ・フェルム(Gouter a la Ferme)」という軽食を出すツーリズムを行っている。

ここで我々はジュリーンさんの口からも再び「観光が農業を支えている。観光を行うことで製品の販売も可能になる。私達は観光で生きていると言っていい。」という言葉を聞いた。

マダム・ジュリーンは今でこそこの地域でも50団体とポピュラーになった、消費者と生産者の交流団体の先駆けを作った人。ジュリーンさんのファンである消費者が6ヶ月分の代金を先払いすると、定期的に産品が送られてくる仕組み。その会員さんはおそらく直接ここを訪れ、ジュリーンさんのもてなしを受けたのであろう。

さっそく我々もジュリーンさんのグーテを味わおう。
       ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン内 ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストランクルミのサラダ
グーテとは”おやつ”の意味らしいが、完全におやつの域を超えている。飾り気なく飽くまで素朴だが、何もかもが一流だ。もちろん料理もサービスもジュリーン夫妻が全て行う。

最初に出てきたのは公園近郊都市、グルノーブルのAOCクルミのサラダ。普通のグリーンサラダなのに、ボウル一杯食べたくなるくらい旨い。何たって、クルミが葉っぱと同じくらい入っている上に、クルミオイルのドレッシングがかかっていて、麻薬のように後をひく。

お隣にいたドライバーのEricさんは「クルミのサラダはどうだ?」としきりに勧めてくる。同じくグルノーブル近郊に住まう彼にとって、やはりこのクルミは誇るべく郷土の味なのだろう。いいことを教えてあげる・・・と”クルミワイン(?)”の作り方を披露してくれた。何でもこの辺りの家庭では一般に作られるらしく、それは赤ワインにくるみと砂糖を入れて40日置いてから飲むものらしい。色々調べると家庭によってオー・ド・ヴィーを入れたり、砂糖の量なども様々みたいだが、40日というのだけは決まり文句みたいだ。赤ワインが余ったら試してみたい。
       ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン タンポポワイン ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン 手作りサラミ、ブルー・デュ・ヴェルコール=サスナージュ、セーグルパン
”クルミワイン”の話に感心していると、今度は”タンポポワイン”なるものが目の前に現れた。これはタンポポの葉にレモン、オレンジ、干しブドウ、砂糖などを加えて作るそうだ。この辺ではタンポポは葉はワインやジャムに、根は薬にと大活躍しているそう。その未知なる味は・・・大変飲みやすくて美味。おっと調子に乗ると倒れそうなので一口でストップ。 

そして手作りのサラミ、ヴィラ・ド・ラン種牛のミルクでつくったブルーチーズ天然酵母のセーグルパン。同時に同じくヴェルコール地方自然公園内のAOCワイン、シェティヨン・アン・ディオワ(Chatillon-en-Diois)のワインが白・ロゼ・赤と供された。言うまでもなく相性抜群だ。凝った演出でもないのにこの贅沢さ。地元素材の威力だ。
       ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン オニオンタルト、鶏のプラム、アーモンド巻き、カボチャのピュレ ヴェルコール・ヴィラ・ド・ラン フェルム・ド・ジュリーン 農家レストラン アップルタルト、ハチミツアイス
メインディッシュ(おやつでメインディッシュがあるとは!)は自家製仔牛肉。「中身はお楽しみ!」とマダム・ジュリーンに言われていたのだが、ナイフを入れると現れたのは何とプラムとアーモンド!添えられていたのは、カボチャのピュレオニオンタルト。このオニオンタルトがまた絶品。マダム・ジュリーン流はハチミツが隠し味だ。どこかにちょっと甘みを効かしているところが”Gouter=おやつ”ぽい?

デザートはアップルタルトハチミツのアイスクリーム。お代わりを勧められたのだが、もはやどこにも入る隙間がなかった。。。

どの皿にも強い説得力と引力があり、気がつくとグーテの最後にはフェルム・ド・ジュリーンのファンになっている。なるほど観光が農業を支えているというその言葉は真実だ!

このようにグーテ(おやつ?)の他、夜の催しに地元の若い音楽家を呼んでコンサートをしたり、少人数の演劇団を呼ぶこともあるそうだ。これが、ヴェルコール地方自然公園事務所で聞いた”農家の納屋コンサート”というヤツかな?

「私達が目指しているのは、農業と文化、環境を結びつけることです!」

マダム・ジュリーンが長くしなやかな手を自分の胸に当てて我々に訴えかける。
その使命感を持って、この場所でしかできないことを、2人にしかできない方法でやっている・・・ジュリーン夫妻からはそんな自信と充実感を感じることができた。

そしてヴェルコール地方自然公園事務所でベック氏から聞いた「700軒の農家も公園の方針とほぼベクトルを合わせている」という発言を思い出した。公園の方向性もジュリーンさんの目線も、今日、明日の近視眼的なことではなく、この農村環境をどう維持するかに焦点を当てているのが印象的だった。そのための観光、外との交流、それが自ずと自分達の持続可能な農業の道を作るということを肌で感じているのだろう。

ジュリーンさんのように公園内、そしてフランス全土で各農家が様々なアグリツーリズムを実行している。内容は農家民宿から釣りのガイドまで多種多様。
「フランスの田舎はなんて美しいんだろう。。。」と漠然と感じていた。しかしその仕掛けは大げさなものではないようだ。いずれにしても私達人間はこの地に足を着けて生きるしかないのだから、今ここで自分にできることをやる・・・農家の1つ1つの活動の塊がフランス国土を守る力になるのだろうと、やっとイメージできた。

さてジュリーンさんとのあまりにも短い交流の後、慌しく次なるミッションへと向かった。

宿泊先のオートランにある、AFRAT(Association pour la formation des Ruraux aux Activites du Tourisme)という組織を訪問。日本語にすると「農村観光活動人材養成教育協会」というらしい。つまり農村グリーンツーリズムの人材養成機関だ。

この組織は1965年にヴェルコールの農業者5~6人が、山岳地域の農村を維持する手段は観光しかないと、自分達で立ち上げたそうだ。今でも国からは独立し、非営利で地方自治体などから小額の援助はあるものの、基本的に参加者からの研修料で運営されている。
               ヴェルコール・AFRAT
研修コースは料理、ガイド、スポーツインストラクター、観光局の受付まで多岐にわたる。

AFRATのアプローチは一般論ではなく個別具体的で、ある特定地域でこれから立ち上げる観光プログラムに即適合するアドバイスを行うそうだ。たとえばある農家が農家レストランをやる場合には、その地域に適した料理とは何なのかというところまでアドバイスを下し、さらには実際にプロジェクトが立ち上がった後も定期的にメンテナンスの助言をしてくれるそうだ。

概要を説明してもらった後、ここで料理の指導をしているヴァンサンさんが調理実習室を案内してくれた。
きれいに片付いているが実に使い込まれた雰囲気。調理器具類は50年前から同じ、家庭で揃うものだけだそうだ。つまりは個々の農家でそのまま実践できる方法で教えるという意図らしい。食材は農家製かBIOのものを使うそうだ。

授業はユニークで、パン、フォアグラなど各専門分野で1週間も学ぶこともあるし、豚一頭をどう使いきるかといった授業もある。またフォアグラの産地へ行って現地で料理を学ぶこともあるそうだ。

「その土地の食材でどれだけ料理に付加価値をつけられるかということを教えています。研修生にはその土地のイメージを形にする力を身につけてもらいます。

ヴァンサンさんがAFRATの方向性を簡潔に語ってくれた。明日はどの地域のイメージなのだろうか、”うさぎの赤ワイン煮込み”をやるという。あ~明日に来たかった!
       ヴェルコール・AFRATキッチン ヴェルコール・AFRAT鍋
料理コースでは現在13人程が学んでおり、8ヶ月の養成期間を経てディプロマを取得していくそうだ。こうして43年間に3万5千ものプロジェクトを立ち上げてきたとのこと。

「本当は研修生の料理を食べてもらいたかったのに・・・」

ヴァンサンさんは最後に悔しさを思いっきり顔に表してこう言った。それがAFRATの成果を確認するのに一番いい方法なのだろう。きっと先ほどのフェルム・ド・ジュリーンで味わったのと同様、シンプルながら説得力のある一流の料理だったに違いない。日本人の胃袋がもう少し大きかったらなーと恨めしく思った。

それにしてもヴェルコールの農業と観光を支える裾野の広さには驚くばかりである。しかもどれもが自発的であり、自立した組織だ。どこへ行ってもフランス政府が・・・とか地方自治体の役人が・・・などという言葉を聞くことがない。よく「フランスは合理的で大人の国」などと聞くが、そういうことなのかと納得した。

このヴェルコール地方自然公園、フランスのみならず世界の農村維持の大実験場として、もっと多くの人に見てもらいたい場所だ!

2008.11.24 | | Comments(6) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

クルミワイン作ってみよっと。

2008-11-24 月 16:18:15 | URL | 羽田の玉ちゃん #HHwP0Xsw [ 編集]

玉ちゃんさま

おっと、早いですね!
こちらもやろうやろうと思ってるんですが、なかなか赤ワインが開きませんで・・・

作ったらブログに載せてくださいね!

2008-11-24 月 17:43:08 | URL | つち #- [ 編集]

勉強になりました。
色々考えるべき事が多いですね。
読ませて頂いて、自分の出来る事って何だろうと考えています。

2008-11-27 木 10:12:03 | URL | ちか #sWmqaT5A [ 編集]

ちか様

いえいえ、多分ちかさんが実践されていることが、まさにこれだと思います。

ブログを書きながら、ちかさんのことを思い出しましたよ!

2008-11-27 木 14:30:21 | URL | つち #- [ 編集]

作りました!

先ほど作りましたが、
分量がわからず適量で。
赤ワインは、甘口。
くるみは、生でいいんですか?

2008-11-29 土 21:02:36 | URL | 羽田の玉ちゃん #HHwP0Xsw [ 編集]

玉ちゃんさま

早い!スゴイ!ブログで見ました!
生くるみでいいみたいです。
早く40日経たないかなぁ~!

2008-12-01 月 11:18:41 | URL | つち #- [ 編集]

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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