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”グリュイエールの王子様”=「ボフォール・チーズ」について知った全て・・・

ボフォールの町はアヌシームジェーブと比べても格段に”田舎”だ。人口は2000人程度だと言う。中心街にも人影はなく、賑わいは全く感じられない。
       ボフォールの景色1 ボフォールの景色2
それでも沿道、家々は花かごで必ず飾られていて、小さなポタジエも整えられている。美しい町だ。
       ボフォールの家とポタジエ ボフォールの家1
その中心部に立つ一際鮮やかな建物が、”グリュイエールの王子様”ことボフォール・チーズを作る協同組合だ。ここで我々を歓迎してくれたのがマダム・ヴィアレ。またも街の有力者は女性だった!
       ボフォール協同組合外観 ボフォール協同組合・マダムビアレ


この協同組合は農村の人口流出と農業の衰退が顕著になった1960年前後に設立された。当時は伝統あるボフォール・チーズも極端に生産量が落ち込み、品質のバラツキが生じたそうだ。この苦境を打開するため組合が編成され、AOC認定取得への原動力にもなったと言う。

現在は160軒ほどの農家がメンバーになっているようだ。もちろん組合外にもボフォール・チーズを作っている農家はあるが、圧倒的な量がここで作られている。ちなみにこれらの農家は搾ったミルクを全量チーズ加工にまわし、販売用の牛乳は生産していないそうだ。従って町中ではこの地の牛乳を購入することはできない。唯一組合の売店で計り売りされているようだ。

さっそく中に入ると見学・展示スペースが整っている。そこで発見!
       ボフォール協同組合・展示1 ボフォール協同組合・展示2n
牧草地での搾乳風景である。やはりバスの窓から見えた車は搾乳用だったのだ。ヴィアレさんにお聞きすると、放牧中は牛舎に帰ることはないので、搾乳は全て草地で行うそうだ。今はこれでも機械化されているが、なんとたった10年前の1998年頃までは手搾りだったそうだ!

ボフォール・チーズはこの地に育つタリーヌ種とアボンダンス種の牛のミルクから作られる。牛たちは5月~10月半ばまでは標高2,500mもの高地にまで放牧される。9月~10月の端境期には1,500m以下の町中の採草地に移され、11月~4月までは牛舎に入るそうだ。

ボフォール・チーズはもちろんAOC認定チーズ(1968年取得)。これらの要件は認定条件に定められているそうだ。
2種類の牛のうち、タリーヌのこの地での歴史は古く、1,500年前くらいにローマから地中海~ローヌ川を上がって文化や宗教と一緒に持ち込まれたそうだ。その時にチーズの原型も伝えられたようだ。つまりボフォールは1,000年以上も高地放牧の歴史があるわけだ。

タリーヌは寒暖に強く、斜面をものともしない強い足腰を持つが、乳量や乳タンパクが少ない弱点を補うため、およそ300年と歴史は浅いが、同じく地方品種であるアボンダンス種のミルクと合わせ、チーズの原料としている。

搾乳は朝晩の2回行われ、夏は1日2回、冬は1日1回、組合の車が各農家を訪れ集乳缶を集める。そう、バスの中から見た懐かしい集乳缶がまだ使われているのである!

そしてここでも殺菌せず生乳を使用することがAOCの規定に定められている。面白かったのは、ヴィアレさん曰く、銅製の鍋を使用することで殺菌になっていると言うこと。またこちら(フランス)の人たちは,チーズの表面の汚れなどは全然気にしないとも言っていた。前回訪れたフェルミエでも同様のことを耳にしたが、根本的に感覚が日本とは違う。

もちろん各農家毎のミルクの検査は、月3回行われているそうだ。そして熟成庫の棚や、重しなどに、エピセアというモミの一種の木材を使っているのも殺菌効果の1つかもしれない。
       ボフォール協同組合・工場内 ボフォール協同組合・熟成庫1
さて、その製造過程だが、工場を見下ろすと果たして銅製の大きな鍋でミルクがかき混ぜられている。1つの鍋に4,000ℓのミルクが入り、ここから8個(1個約40kg)のボフォール・チーズが出来上がる。33℃に温められたミルクは、およそ30分で4~5ℓのレンネットを加え凝固させる。このレンネットは仔牛の胃袋から採った天然の酵素を使うらしい。これは凝固だけでなく、発酵にも必要な酵素だとされている。

15分ほどでチーズカードが出来上がるとカッティング作業だ。その後攪拌を続けながら徐々に54℃まで温度を上げると、チーズカードの粒からホエーが抜けて次第に大きな塊になっていく。その後も45分程攪拌を続け、熟練した職人が手でチーズカードに触れ、ホエー抜きのタイミングを計る。一番重要な作業は人の手によって行われる。そうしてカッティングからおよそ2時間後、”ラッキングベル”と言われる筒状の入れ物に移され、カードが完全に沈殿した後ホエーが放出される。

ラッキングベルの下部は筒抜けになっていて、下には木枠と布が敷かれチーズを待ち構えているという仕組み。素直にここへ落ちてきたチーズカードは、反転と布の交換、木枠の締めなおしを繰り返しながら、1昼夜1,000kgの重しで圧搾される。そして最後は側面に、作成年月日、担当者の名前などを記した真のボフォール・チーズである証、ブルーのカゼインマークが刻印される。

その後24時間塩水に漬けてから、10℃の熟成庫で平均7ヶ月間、最低週2回塩で表面を拭きながら反転を繰り返す。1個40kgもあるチーズをひっくり返すのは並大抵のことではない。現地で見せていただいたVTRでは、たくましい男性が腹と腕を使ってリズミカルに反転作業をしていた。これも熟練作業だ。こうしてボフォールの特色である”モルジュ”と呼ばれる茶色い外皮が現れる。26室ある巨大な熟成庫には約16,000個のチーズがキープされているそうだ。これがボフォール・チーズの完成までの道程である。その外観の特徴は、グリュイエールと違って「淵が内側にカーブしている」ことと、「中に穴がない」ことだそうだ。

こうして1年中製造されているボフォール・チーズだが、実は原料のミルクによって3つの価格帯がある。
一番安いのが11~4月に搾られた干草をエサにしたミルクで作ったもの(イヴェールHiver)、次が5~10月に搾られた放牧牛のミルクで作ったもの(エテEte)、そして1,500m以上の高地で100~200頭の単一の群から搾られたミルクで作ったもの(アルパージュAlpage)が最も高い。当然アルパージュが一番美味しく、天然の高原植物を沢山食べた牛のミルクで作られたそれは、ヴィアレさん曰く「花の香りがする」そうだ。
       ボフォール協同組合・熟成庫2 ボフォール協同組合・ホエー回収
充実したヴィアレさんの説明を聞き終え、ボフォール・チーズをヴァン・ド・サヴォワと共に(チーズ工房では必ず、チーズの前にワインが供される。やはり2つはセットなんだな・・・)試食した。意外にもクセがなく食べやすい。弾力があって噛む度にミルクの甘みを感じる。変な表現だが”可愛い味”がする。

試食したのは6ヶ月熟成と若かった。ヴィアレさんによると1年以上熟成しないとボフォール・チーズの真の実力が発揮されないとのこと。いずれ1年モノと出会えるのを楽しみに取っておこう。

組合の外に出ると、大きなタンクを積んだ車が待機していた。何でもホエーを回収しにきたそうだ。
工場から排出される大量のホエーだが、まだ1ℓあたり5gの乳脂肪が含まれており、ちゃんと再利用されているようだ。主に化粧品、薬剤、そしてホエー豚用とのこと。何と、このホエー豚も高地放牧(?)されているとかで、その味は格別とか・・・

あ~実にいい勉強した! お腹空きましたねぇ。
次はこの地で食べた郷土の味をご披露!
お楽しみに。。。

2008.11.07 | | Comments(2) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

素晴らしいです!!

ボフォール・チーズというのは
恥ずかしながら初耳だったのですが、
つちさんの詳しい説明のおかげで、
少しわかったような気がしました。

それにしても、殺菌しない生乳をつかうことが、
AOCの条件になっているのが、
あちこちで見られるようでびっくりです^^
だからこそ美味しいチーズになるんでしょうね。
花の香りがするというアルパージュ、
食べてみたいものです^^

2008-11-10 月 00:31:37 | URL | よし #- [ 編集]

よし様

長ったらしい説明を読んでくださって、ありがとうございます。

「菌を殺さず、コントロールする」という考え方は独特ですよね。
 
私もアルパージュを口にしていないので、いつか対面できるのを楽しみにしています!

2008-11-11 火 22:28:52 | URL | つち #- [ 編集]

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Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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