チーズ工房プラッツのチーズができるまで・・・
江別初のチーズ工房、プラッツがオープンしてから早くも3週間が経ちました。
チーズ工房プラッツの特集、最終回はちょっとだけマニアック、「プラッツのチーズができるまで」を紹介します。
9月22日(金) 今日も快晴。真っ青な秋の空・・・
「おはよーございまぁ~す!」
つちが牛舎に着いたのはAM7:00。すでに作業は始まっていた。おっと、牛の息が白い!
牛のお乳はパンパン。この時期、平均で1頭あたり28kgの牛乳が搾れる。搾乳は研修生の啓介さんが任されている。
エサやりは長男、光喜さんの担当。
「エサの順番は効率よく栄養を消化できるよう自分の経験で決めてます。短草→ビートペレット→コーン→干草→合成飼料の順です。あとは牛の糞の状態を見て調整してます。」
この日の牛たちも食欲旺盛。エサやりはいいチーズをつくるための大事な作業だ。
「あれ? お父さんは・・・」
慌てて牛舎を出ると、すでに今日仕込むチーズ用の牛乳が工房前に運ばれていた。
なんと生乳クーラーをトラクターで高く持ち上げ、ホースでチーズバットまで自然落下させている! すごい、画期的!
工房内に潜入する。「うわっ、一気にメガネが曇っちゃった!」
室温は30度くらい。1日に仕込むのは200Lの牛乳。これで約20kgのチーズができる。
最初の作業は脂肪分の調整。少量ずつ攪拌分離し、約4.1%の脂肪分を3.5%にする。左側に分離して出来る副産物が”純生クリーム”だ。おいしそ...
あとは63度まで温度を上げ30分間加熱消毒、攪拌しながら温度を下げていく。これは機械がやってくれる。それにしてもこのクリーミーな泡立ち...この中に入りたい。。。
「さぁ、朝ご飯食べよ。」
AM8:30 お父さんは足早に家へと戻る。つちも遠慮なく2回目(?)の朝食を頂いた。そして何と言っても一番のごちそうはこれ↓
「コクがあるけどさらっとしている」米村牧場の絞りたて牛乳だ。いただきま~す。
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いったん米村牧場を離れ午後に戻ると、すでにスターター、レンネットが仕込み中のチーズに添加されていた。
不気味な程静かな表面。しかし水面下では激しく微生物たちが活動しているのだろう。
ついにカッティング。均一の粒になるように、丁寧にカットする。
この後、チーズの味を左右する大事な作業、加水・加温。写真はありません。非公開・・・ではないのですが、写真撮り忘れました。スミマセン。
しかし、前々回「江別―長野 海峡を越えた出会い」http://tutibaku.blog56.fc2.com/blog-entry-29.htmlで紹介した藤木シェフのコメント「苦味またはえぐみ」はこの過程次第で取り除くことができる・・・とお父さんは分析している。
「ここで加えるお湯の温度と量でカードから引っ張り出せるホエーの量が決まる。この段階で抜けなかったホエーはそのまま残って苦味になるんだ。」
お父さんは急激な温度上昇を避けるため、3分に1回の割合でチーズバットの側面から丁寧にお湯を注ぐ。
次第にチーズバットの中の色が変化してきた。うまく分離すると綺麗な薄緑色になるそうだ。今日のはどうなんだろう・・・
「うーん、まぁまぁじゃないですか。」
お父さん、笑顔だ。
「やるか!」
お父さんの掛け声でお母さんも登場。ホエー抜きの作業は米村夫妻の協働作業だ。
カードを型に入れる。型に巻いているのは・・・?
「うん、ワイシャツの生地。型とカードの間に隙間があるとそこにカビが生えるだよね。色々やったけど、ワイシャツの生地が隙間を埋めるのに一番いいんだ。」
なるほど、これも手作り!
重しをして何度か上下をかえながらホエーを抜いていき、最後にしっかり重量をかけ本締めする。これは明日までじっくり時間をかける。
翌日、型からはずしたら乾かし、塩水につける。その後熟成庫へ。
「お疲れ様でした! さ、カウボーイでも食べるか。」
きゃぁー、この日の目的は実言うとコッチだったんですよねー。(お父さん、ゴメンナサイ。。。)
「カウボーイ」とは、米村千代子さん=お母さんの手作りケーキ。シフォンケーキと並ぶ、米村家の定番おやつだ。まるごと江別グルメ会でも米村さんといえば「カウボーイケーキ」というほど。
「俺は甘党だからさ。」
と言いながらお父さんも幸せそうに頬張っている。
ところでお父さん、お父さんのチーズ作りのこだわりは―?
「俺、チーズ作りにそんなに熱くないでしょ? チーズは環境が作ってくれるって思ってるの。こんなチーズが作りたいっていうのはあるよ。でも絶対他のチーズと同じものは作れないんだよね。ここの環境は下水道1本で繋がってたって、隣とは違う。それがここのチーズの個性なんじゃないかな。」
な~んて、かるぅ~く言い放ってるけど、牛のエサとなる牧草の土壌づくり、堆肥づくりまで突き詰めた米村さんの酪農。その集大成がプラッツのチーズなんですよねー?
「いや、道楽です。」
照れくさそうに笑うお父さん。チーズ作りを始めたことで酪農についても新たな気づきがあるそうだ。
「出会いもあるしね。」
プラッツ=広場の名の通り、米村牧場と米村さんのところに色んな人たちが集まって、もっともっとおいしいチーズ作りの環境を作っていくだろう。
米村さん、応援してます!!
2006.09.24 | | Comments(4) | Trackback(0) | 江別
