スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | | スポンサー広告

生命の源を伝える塩づくり~黒松内の『海心窯しおのや』

5月1日(金)快晴、しかも暑い!久しぶりの遠出で、黒松内までやってきた。

目的はここで釜焚きの塩づくりをしている『海心窯しおのや』を訪れることだ。

前日電話で問い合わせると、明日は釜焚きをやっていないとのこと。しかし思い立ったら吉日、計画実行に踏み切った。

GW前の平日とあって、黒松内町の中心に入ってもシーンとして時間が止まったような静けさ。この山の中に『海心窯しおのや』はあった。主の地本庄吾さんはご不在だったが、電話でも応対してくださった奥様が快く窯のある作業場に案内してくださった。
       海心窯しおのや・窯 海心窯しおのや・塩の結晶

レンガづくりの3段窯は、思ったより精緻な姿をしていた。

「これは江別産の窯なんです。」

え、えべつ産!? 江別がここにつながっていたとは!


地本さんは初め、窯から自分達で作ろうと思っていたそうだ。しかし熱効率をよくするためには、3つの窯の表面積や空気の流れ方など専門的な計算が必要で、結果的にそういう技術を持った人材が江別にいたということだ。

火を焚くのは手前の一番大きな窯の下一箇所で、ここで約1000℃まで温度を上げる。その熱を順番に第2の窯、第3の窯と誘導しながらゆっくり温度も降下させる。

海から汲み上げてきた海水を第1の窯に入れ、塩分濃度3%くらいのものを15%くらいになるまで煮詰め、次の窯へ。さらに煮詰めてまた次の窯へ、その都度アクのような不純物を漉して移していく。

窯を移す毎に濃度が高くなり塩分が結晶化してくので、加熱も穏やかにしていき、焦げないようにかき混ぜながらの作業になる。そこが神経を使う過程のようだ。あとのポイントは、どこで釜焚きを終えるのか。

塩分に含まれるミネラルは個々に結晶化する温度やタイミングが違うので、毎回異なる海水の状態や気候条件の下で、いかに多様なミネラルを取り込み、同じ成分バランスに仕上げるかは、作り手の判断によるところとなる。

「やっぱり結晶の形を見るんですか?」

窯に沈んだ神秘的な塩の結晶を覗き込みながら尋ねると、

「う~ん、主人によると”匂い”でわかるらしいんです。」

”匂い?” そう言われてさっそく窯に中に鼻を突っ込んでみたが全くわからない。やはり毎日塩と向き合っている者だけが知る匂いなのだろう。その未知なる匂いを感知した時、塩を窯から降ろす。
       海心窯しおのや・塩の塊 海心窯しおのや・食育用ボード2

窯に残った塩の結晶があまりに美しかったので、ちょっとその場で味見させていただいた。味はすごく濃い印象なのだが、ゆっくり舌の上を転がして喉の奥へ伝わせて行くと、その味が一直線でなく色々な旨味が重なっているのに気付く。

ダシが効いているような味なので、時々お客様から”味の素入ってますか?”なんて聞かれるんですよ。もちろん入ってませんよ。」

と奥様。これはダシはダシでも天然の海のダシだ。これで料理したら確かにダシ要らずかもなぁ・・・
なーんて談笑していたらかれこれ1時間も経過。そろそろお暇をということで、最後に地本さんが目指す”塩”ってどんなものなのか聞いてみた。

「うーん、むずかしい質問ですね。塩作りについては殆ど主人がやっているので聞いてみないとわかりませんけど、特に力を入れているのは子ども達に本物の味を教えることなんです。子どもって本当に敏感で、その時覚えた味は一生忘れないんです。だから地元の子ども達を招いて食育みたいなこともやっています。」

作業場の壁にはその時の教材用と思われる黒板がある。そこには「森と海はひとつ」の文字が記されていた。

ここに来る前は「なぜ?」と思うことが沢山あった。そもそも和歌山のTV局に勤めていた地本さん、取材先で塩作りに出会いその虜になって自ら職人の道を選んだそうだが、なぜ北海道に渡り、この黒松内に根を降ろしたのか・・・もともと縁があり、海水がきれいで日本海と太平洋の両方に近いということ、黒松内の貝殻地層から海にカルシウム分が豊富に流れ出していると言われることなどから、この地で塩づくりを営む決意をしたそうだ。

そしてなぜこの森の中まで海水を運び、塩を作っているのか・・・

窯の燃料は薪だ。森はこの薪を手に入れやすいという利点がある。現在は近隣の間伐材や壊れた建築材などで賄っているという。エネルギーも地元産だ。

でもこの地で塩を作っているという意味はもっと深いところにあるように思う。

森に木があって、天から降り注いだ雨がゆっくりと太古に蓄えた深い貝殻層を通り、海にミネラルを放出する。そうして森が生命の源と言われる豊かな海を守っている。その海の結晶を私達が体に取り込む。

そう思うと、この砂のごとく小さな白い粒がただならぬものに見えてくる。この塩を食べることは、自分がこの循環する自然の一部になること。それをこの小さな塩が教えてくれる。

     地本さんの目指している塩づくりは、塩を原点に自然の営みを見せることではないか。
          そして塩を作ることで、この環境を守っていくことなのではないか
                     ・・・そんな気がする。

               海心窯しおのや・玄関

2008.05.04 | | Comments(6) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

しっぽ

「海のしっぽ」は「森のしっぽ」でもあるんですね。
ステキなストーリーです♪

身近に購入できるようになるとうれしいんですけどね。

2008-05-04 日 19:49:40 | URL | みどり #- [ 編集]

全ては繋がるのかも。

三陸で牡蠣の養殖をされている畠山重篤さん、古くはえりも町も山に木を植え、山の養分を川から海へと放出させ海を豊かにした・・・黒松内でも海と山の結びつきを大切にお考えの方がいらしたのですね。こんなお話を伺うたびに、人間は色々な事に感謝して自然を守らなければいけないのだと感じます。

2008-05-04 日 23:51:13 | URL | ちか #sWmqaT5A [ 編集]

みどり様

「森のしっぽ」、言いえて妙ですね!札幌では丸井今井の「きたキッチン」で扱っているようなんですが、すぐ品切れになってしまうとか。現地でないと手に入りにくいのも、また魅力なのかもしれませんね。

2008-05-05 月 16:30:45 | URL | つち #- [ 編集]

ちか様

えりも町の取り組み、知りませんでした。さすが、ちかさん。物事の深い部分まで読み解いていらっしゃいます。私も今回すごく勉強になりました。またいろんな人と会って勉強を重ねていきたいです。ちかさんにも沢山教えてもらいたいな。

2008-05-05 月 16:36:05 | URL | つち #- [ 編集]

こんばんは。

理想の石釜は見つかりましたか?

ご存知かもしれませんが、小樽に『エグ ヴィヴ』というパン屋さんがあって石釜でパンを焼いています。

パンマニアには有名なお店です。とっても美味しいパン屋さんです!!!

すぐ側に陶芸の工房もあるので、陶芸の釜も見る事が出来るのではと思います。



Aigues Vives(エグ・ヴィヴ)
小樽市忍路1-195
火・水休

2008-05-06 火 03:40:20 | URL | 高木  #- [ 編集]

高木様

情報ありがとうございます。エグ・ヴィヴさんは1回行った際、まだオープン前でそのまま帰ったっきり、行ってないのです。次回小樽方面へ出かけたら窯を拝見したいと思います。
フレンドリーファームも畑作業に忙しく、まだ石窯づくりに着手していませんが、ゆっくり、じっくり作るのが醍醐味かもしれません。楽しみにしていてください!

2008-05-06 火 19:41:53 | URL | つち #- [ 編集]

コメントの投稿


秘密にする

«  | HOME |  »

プロフィール

つちばく

Author:つちばく
札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

お知らせ!!

    


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。