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離島のツーリズム~小値賀島への旅④~終章

さて最後のプログラムは「プチ民泊体験」。ちなみに野崎島ツアー、小値賀島ツアー、そしてこの「プチ民泊」は全て1日でこなしてます。

「プチ民泊」は、一般の民家で食事を作り一緒に食卓を囲むといった内容で、宿泊をしないで「民泊」の雰囲気が味わえる短時間滞在プログラムだ。

もともと『おぢかアイランドツーリズム協会』が最初に取り組んだ事業が、修学旅行などの教育プログラムとしての民泊だった。平成18年に7軒だった民泊も今では50軒以上にまでに広がっているそうだ。小値賀町全世帯中およそ26軒に1軒の割合だ。

一方この「プチ民泊」は、我々のような古民家ステイ利用者のための夕食を兼ねた体験プログラム。高砂氏曰く、”大人の旅”の場合、民泊は「”ごちそうさま”まではいいってよく言うんですよね。でもその後、ふすま1枚隔ててお父さんのいびきが聞こえる中で寝るのってどうか・・・」 と。そこで交流の醍醐味を味わえる食事時間だけを切り取ったわけだ。

17:30、一行が到着したのは『きやもり』山田ヨシ子さんのお宅。玄関を潜るとヨシ子さんが待ちかねたように飛び出してきて、「さ、挨拶はゆっくり後にして、入って、入って。」と歓待してくれる。
       山田ヨシ子さん かんころ餅


ヨシ子さんは、この人に「不可能の文字はない」と思わせる本当にパワフルな方。”北海道のヨシ子”こと小林ヨシ子さんを思い出してしまった。2人の「ヨシ子」さん、引き合わせたいなぁ。

コートを預けた部屋の片隅に、早速自家製「かんころ餅」を見つけた! 「かんころ」とは干したサツマイモのことで、それをもち米と一緒に搗いたのが「かんころ餅」。五島列島の伝統的保存食だ。つちも小値賀島のスーパーマーケットで見つけて土産に購入した。実はまだ食べていないが、輪切りにして軽く焼くと香ばしくて美味とか。お正月の楽しみにとってある。

本当に挨拶そっちのけで、さっそく夕食準備に取り掛かる。体験として用意してくれたのは、今日揚ったばかりのアジの蒲鉾づくり。そしてヨシ子さんが採ってきてくれたアオサのかき揚げだ。
       アオサのかき揚げ1 アオサのかき揚げ2
アオサ、もしかしたら初めて食べるかもしれない。そしてこれが大ヒット! 居並ぶご馳走の中で一番のお気に入りとなった。コーン(これも小値賀産)がアオサにとてもよく合うのだ。
       アジ蒲1 アジ蒲2
アジは骨ごとすりつぶして団子にする。
       アジ蒲3 『きやもり』の夕食
今回は”揚げアジ蒲”にした。プリプリの食感の中に骨のコリコリも残っていて、いかにも家庭的。

そして我々を待ちかまえていたのは彼らだけではなかった。食卓にはまさにこぼれんばかりのご馳走。ちょっとピンボケだが、代表的な料理をご紹介しよう。
       ハガツオの刺身 カツオの頭のたたきなます
メインは旬の魚の刺身。今は何と言っても「ハガツオ」。そしてその「カツオの頭のたたきなます」
       生節の押し寿司 イカとほうれん草のクルミ和え
そしてカツオの「生節の押し寿司」。 「イカとホウレン草のクルミ和え」
       むつの南蛮漬け 鯛の酒蒸し
「ムツの南蛮漬け」。 「鯛の酒蒸し」。 
       大根の酢和え 胡麻豆腐
「大根の酢和え」。これは揚げ豆腐と味噌と酢で和えているそうだ。 「胡麻豆腐」。胡麻も小値賀産だそうだ。ともかく食材はほぼ島のもの。

豊かな食を囲みながらヨシ子さんの小値賀弁による”体験談”をたっぷり味わった。アメリカの子供たちを受け入れた時の英語対小値賀弁での交流。心を閉ざした問題児が涙を流しながら胸の内を打ち明けた話。体育会系男子の驚異の食べっぷりなど。ヨシ子さんは宝物を1つ1つ取り出すみたいに披露してくれた。

「楽しくってしかたない。お金には換えられないものがある。」

小さな離島にいながら世界中の人達と出会えることが、どんな小説よりも、映画よりも、旅行よりもドラマティックなことを彼女は知っている。

こんな民泊プロフェッショナルがいることも、島全体で受入体制を築けた理由だろう。しかしヨシ子さんとて最初から大歓迎で始めたわけではない。

「知らない人を家に泊めるなんて、最初はやりたくなかった。」「やっぱり合併をしない道を選んだのが大きい。自立していくために(民泊を)やらないと。」

小値賀町はいわゆる「平成の大合併」の折、佐世保市、宇久町、小値賀町の合併についての住民投票を行い、賛否拮抗しながらも合併拒否を選択したのだ。滞在中何度も耳にしたキーワード。この”合併拒否”がどんなに小値賀の人たちの意識を変えたかを物語っている。

当時は人口減に歯止めがかからず、毎年3%(約80人)の人たちが島を出ていく状態だったそうだ。その多くは島で就職できない若者だ。恐らく小値賀島の島民は、お隣の野崎島が平成13年に無人になったのを目の当たりにして、自らの運命を悟っただろう。それでも自立を選んだのには大変な覚悟が要ったと思う。

『おぢかアイランドツーリズム協会』の発起人である高砂氏を最も突き動かしたのは、島を離れる中学生の3人に1人が実は残りたがっているという事実だったそうだ。

「町に雇用を作る。観光はそのための手段」 「平成27年までに島に雇用を50人つくる」

協会も町からの補助金なしで自立。明確なヴィジョンで島民を導き、民泊をスタートさせた。そして平成19年、20年と、アメリカの国際修学旅行「ピープル・トゥ・ピープル(PTP)」を受け入れ、そのアンケートで2年連続世界一の評価を獲得。このPTPは毎年2万人以上の学生を世界中50か国近くに派遣している民間団体。小値賀には年約180人が数グループに分かれ交代で来島し、3泊の民泊体験をするそうだ。

この大きな成果を自信に繋げ、民泊は町の産業の大きな柱に育った。そしてもう1つの柱となるべく、”大人旅”古民家ステイもスタート。今では年間1億円の観光収入、約1万4千人の宿泊客数を獲得するまでになった。

そして観光事業の成果が、見事に目標だった雇用創出につながり、今年度は人口減少にストップがかかりそうだと言う。今、島は若者のIターン、Uターン、結婚ラッシュだそうだ。数年後には出産ラッシュが来るに違いない。

絵に描いたような成功物語で表現してしまったが、もちろんそんな簡単な道筋ではなかったはずだ。つちは小値賀の力はとことんマイナスをプラスに振リ変える力だと思う。第一にこの成果の一番の原動力は、後がないというどん底の苦境だった。合併をやめることで島民は自ら「退路を断つ」ことになった。これ以上悪くならないならやるしかない。

そして離島ゆえ新陳代謝しなかった町並み、風景。時代に取り残されたというマイナス要素が、今貴重な資源になっている。古民家ステイはまさにマイナスがプラスに大きく振れた賜物だ。

そしてギリギリの苦境の中、目的を一本にしたのも、迷い道に入らず直進できた原動力だと思う。「島の子供たちに雇用を作る。観光はその手段」という言葉を高砂氏から聞いた時に、北海道・興部町で酪農の6次産業化をいち早く成し遂げた『ノースプレインファーム』大黒宏氏の言葉を思い出した。最初の一歩を踏み出した理由は「地元の牛乳が地元で飲めないのはおかしい」とそれだけだったそうだ。いつでもものすごいエネルギーを発する人の目的はシンプルだ。

実質1日の小値賀での体験を終え、11月28日(木)AM7:40、残念ながら時化のため運休になった高速船の代わりにフェリーに乗り、島を離れた。早朝のターミナルには『きやもり』のヨシ子さんの姿があった。驚く程早いスピードで島から遠ざかるフェリーを、本当に見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。数時間の出会いだったのに、やはり涙が出た。3泊もしたアメリカの学生がどれだけグシャグシャに泣いたことか。

帰路、小値賀でのあまりに濃い体験を振り返りながら、何とはなしにTPPに思いが及んだ。TPPの日本加盟がどのような決着を見ようと、これはある意味日本の食糧の危機を招くことになる。その時に私達は自立できるだろうか。「TPPはチャンス」という意見の意味するところはひとまずわかった。でもチャンスにするためには、真に”危機”を認識しなければならないことを小値賀から学んだ。

自分も馬鹿みたいにがむしゃらだった時は、どん底にいた時だったなぁ・・・と懐かしんでいる自分に鞭打ちつつ、少しでもマイナスをプラスの力に変えて直進しよう。

※ご一緒した当別『フレンドリーファーム』佐藤信廣さん、北大観光学院のKさん、Hさん、お疲れ様でした~

2013.12.07 | | Comments(2) | Trackback(0) | 出張報告!

コメント

お疲れ様でした!

読みごたえのあるレポートをありがとうございました!
ずっしりと胸に落ちるものがありました。折に触れ、何度も読み返してみたいと思います。
旅のお疲れは癒えましたか?

パワフルなヨシ子さん、とても魅力的なかたですね…!民泊を体験して、実際にお話を伺ってみたいな…と思いました。
多くの困難を乗り越えて来られたからこそのパワーとあたたかな心くばりが、訪れる人たちの気持ちをときほぐすのだと思います。

「つちは小値賀の力はとことんマイナスをプラスに振リ変える力だと思う。」

マイナスをマイナスとしてしか受け止めることができず、ただ凹むばかりの私には、島民の皆さんに教えられることがたくさんあるなあ…!と、つくづく感じさせられました。

それにしても、ずらり並んだご馳走のなんて美味しそうなこと!♪

地元で採れた旬の食材を、惜しみなく使ってふるまわれるおもてなしの料理。
これぞ真の意味での「贅沢」ですよね…!♪

数年後、島に元気な赤ちゃんがたくさん生まれますように!!

2013-12-11 水 23:38:50 | URL | さざぴ #3cfJX5.E [ 編集]

さざぴさま

すっかりお返事遅くなってごめんなさい!

マイナスに思っていることって、見方を変えるといくらでもプラスになるんですよね。
プラスだけでマイナスがなければエネルギーは生まれない。
マイナスが大きい程、エネルギーは大きくなります。

そんなスタンスで、これからマイナスに見えることは、逆立ちして見直すようにしたいと思いますよ。

2013-12-30 月 20:22:18 | URL | つちばく #- [ 編集]

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札幌市在住でなぜか「江別」好き。友達は殆ど江別、そして農家・・・

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